(ブルームバーグ):中国の半導体メモリー大手、長鑫存儲科技(CXMT)を傘下に置く長鑫科技集団(CXMT Corp.)は新規株式公開(IPO)の投資家募集を来週開始する。今年最も注目される上場案件は、最終段階に入る。
CXMTは、AIモデルによるリアルタイムのデータ処理に不可欠なDRAMの世界4位メーカーで、韓国のサムスン電子やSKハイニックスと競合する中国のハイテク産業を代表する企業だ。
長鑫科技が実施するIPOの対象となるのは66億8800万株。このうち半数はいわゆる「コーナーストーン」投資家に割り当てられる。需要超過でオーバーアロットメントのオプションが行使された場合、提供株数は76億9000万株に増え、発行済み株式総数の11.3%に相当する。
目論見書によると、安徽省合肥に本拠を置く長鑫科技は、上海証券取引所のハイテク企業向け市場「科創板(STAR)」への上場に向け少なくとも295億元(約7050億円)を調達する計画だ。
オーバーアロットメントが行使されれば調達額は50億ドル(約8100億円)超に拡大する可能性がある。その場合、中国本土では中国海洋石油(CNOOC)が2022年に51億ドルを調達して以来最大の上場となり、アジア全体でも2025年5月に電気自動車(EV)バッテリーで世界をリードする寧徳時代新能源科技(CATL)が実施した53億ドルの株式発行以来最大規模となる。
テクノロジー覇権
相次ぐIPOを主導する中国の半導体メーカーは、投資家の強い関心を集めている。回路基板メーカーからAIモデル開発企業まで、AIのサプライチェーンに属する各社は、需要拡大への対応と米中テクノロジー対立を背景にした競争力強化を目的として資金調達を進めている。
長鑫科技はIPOで調達した資金を、ウエハー製造ラインの生産能力拡大とDRAMテクノロジーの高度化に充てるとしている。
米国防総省は中国人民解放軍を支援していると結論付けた企業を列挙するリストにCXMTを掲載。ブルームバーグによれば、米アップルはそれでも、CXMT製DRAMの調達を認めるようホワイトハウス関係者に働きかけている。
こうした状況下でのアップルの要請は、世界的な半導体メモリー需給逼迫(ひっぱく)により、民生用電子機器メーカーが調達に苦慮している現状を裏付けている。CXMTの技術力に対する重要な評価と、同社による外国のメモリー大手との競争を目指す取り組みの成果を意味する可能性もある。
長鑫科技の大型IPOは、中国半導体業界に対する投資家の信頼感を測る最も明確な指標の1つとなりそうだ。中国政府が戦略技術分野に巨額の資金を投じ、地政学的緊張から半導体産業を守ろうとする中、CXMTは中国のテクノロジー覇権への志向を象徴する存在となっている。
長鑫科技の上場により、中国本土市場では時価総額上位に入る企業が新たに誕生する見込みだ。ただ、その規模や存在感から、過去に大型IPOと市場の天井形成が重なった局面を想起させるとの懸念も再燃している。
予備的なブックビルディングは13日に開始され、IPO価格は15日に公表される予定。機関・個人投資家は20日までに資金を準備する必要がある。提出資料によると、オーバーアロットメント前のベースで提供する株式の約10%が個人投資家向けに配分される。
今回の発表は、証券監督管理委員会(証監会)の承認取得から1カ月足らずで行われた。IPO手続きは7カ月余りで完了したことになる。
長鑫科技は、重要テクノロジーを開発し科創板上場を目指す企業を対象に新たに導入された事前審査制度の適用を受けた。この制度の下で上場手続きを完了したことが確認されている企業としては、長鑫科技が初めてで、ヒト型ロボットメーカーの宇樹科技(ユニツリー・ロボティクス)が2社目。
原題:China Chipmaker CXMT to Launch $4.3 Billion IPO Next Week (1)(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.