「お前も人を殺すから」2Eギフテッドを襲った誤解と消えない恐怖
診断を受けた20年以上前は、少年事件とアスペルガーなどを特集する多くの記事が掲載されていた。今では因果関係は明確に否定されているが、詩歩子さんの診断に当時の「里親」は過剰な反応を示したという。
ーー里親さんから凶悪事件のことを初めて言われたんですよね?

詩歩子さん
「〇〇事件(の加害者が)発達障害だった。『お前も人を殺すからうちの子を殺さないでくれ』『死ぬんだったら(山村留学を)やめた後に自殺してくれ』と言われて、すごくグサッときて」
詩歩子さんはそれ以来、凶悪事件と発達障害について書かれた本や雑誌をかたっぱしから手にとり読むようになった。自分もいつか人を殺すのではという不安にとりつかれ、髪の毛を抜くなど自傷行為を繰り返した。複雑性PTSDを発症し、高校1年生のとき精神科病院に入院した。

詩歩子さん
「私も人を殺すんじゃないかと思ったら『死ななきゃいかん』って。列車の踏切に行ったこともあるし、飛び降りようとしたこともあるが、やっぱり死ねなくて」
母・睦子さん
「自傷もあるが、私とか母とかに対して、パニックになると叩いたり蹴ったり、物を投げたり壊したりというのがあった。私も叩かれ蹴られながら、どうすることもできなくて」
23歳まで入退院を繰り返した詩歩子さん。母親が詩歩子さんが立ち直るきっかけを探している中で見つけたのが精神医療に関する書籍を発行する出版社だった。

鹿児島県にある「ラグーナ出版」。精神障害のある人に対して、働くことで回復を目指す、就労支援を行っている。
詩歩子さんを担当していたのは精神保健福祉士の資格を持つ河野豊さん。

河野豊さん
「3年ぐらいかな。宮崎から通われて、お母さんとも連絡を取りながら。『とにかくここに来ること』を目標に」
3年間、ここの支援プログラムで詩や小説の創作・発表などを続けるうちに、パニック障害や自殺願望に対応できるようになっていったという。
ラグーナ出版の川畑善博社長は…

ラグーナ出版 川畑善博社長
「彼女の強みは書くこと。そこはもう最大限生かしてほしいなと。働く場所があるといいなと。あとは地域の中で役割がある居場所、役割がないと『居場所ではない』と思った」
「どうですか、暮らしは?心の平和は維持していますか?」
詩歩子さん
「フラッシュバックしたり、死にたくなったり、きついこともあるけど、自信にはなりました」

詩歩子さんのように、高い知的能力と発達障害など、特性を併せもつ人は、「2Eギフテッド(Twice Exceptional)」と呼ばれる。2Eギフテッドにはどんな支援が必要なのか?














