同じ悩みを抱えている人に「生きてるだけで偉い」

東京で文学作品の展示即売会「文学フリマ」が開催された。宮崎県から自分の短歌や小説を出品しにきたのは、2Eギフテッドの詩歩子さんだ。母親の睦子さんも付き添ってきた。

詩歩子さんは全国各地で開催される「文学フリマ」を通して、他の出品者たちとつながってきた。

フリマに参加するにはブースの出店料、移動の交通費や宿泊費、出品された知人の作品を買う代金など、多額の費用がかかる。

詩歩子さん
「売れないね、ごめんね」

母・睦子さんが今最も心配しているのは、今後、詩歩子さんが自立した生活が送れるのかということだ。

母・睦子さん
「娘を前にしてあまり言えないけど、たまには母親休みたいときもある。でも私の人生では、その選択肢はなかった」

同じような生きづらさを経験してきた人とつながりたい。詩歩子さんは母親とともに、2Eギフテッドの子どもたちを支援する福岡の「TEAM GIFTED」を訪ねた。

カウンセリングを担当している足立瑛児さんと二人で話す。

詩歩子さん
「日本ってギフテッド教育、少し始まっているが、ほぼ無い状態。高IQの子どもに対する知識が不足していたりとか、今でもネットで“ギフテッド”とか“高IQ”とか調べると、結構ネガティブな意見が見られたり」

チーム ギフテッド 足立瑛児さん
「僕もKY(空気が読めない)と言われて育ってきた。僕はそれがまだ恐怖になっている」
「同じようにPTSDで悩んでいる人に何かメッセージは」

詩歩子さん
「生きているだけで偉いんだよ」

睦子さんも、これまであまり口にできなかった不安を、専門知識があり母親でもある陽子さんには話すことができたという。

母・睦子さん
「子どもがお互い大人になって、人生の中で一番生きづらかった、どん詰まりだった頃を多少は乗り越えている息子・娘がいるという共通点があった」

チーム ギフテッド 足立陽子 代表
「共感するところが多々あって、共有の話題もあったし」
「私たちの話が少しでも広がって、皆さんが意識して正しい情報をキャッチしてくれることから始めないと」

鹿児島県にある、ハンセン病患者の療養施設「星塚敬愛園」。

詩歩子さんは10代のころ、ここでハンセン病への偏見に苦しみ強制的に堕胎させられた女性と出会った。その出会いを綴った小説は、8年前、初めて文学賞を受賞した作品となった。

女性はすでに亡くなっているが、小説では「ミツさん」という名で登場している。

「あの夏へ」(詩歩子著より)
「ミツさんは急に顔を持ち上げた。(略)
『どんな病気でも障害があっても人間は人間として生きる価値があるから』
『でも僕は』と僕はどうかなりそうになりながらやっとの思いで言えた。まだ迷っている。どうしても迷っている。
『まだ迷ってばかりなんです…今日はそう思えても明日がどう思っているかわからないんです。』」

「死にたい」という思いが消えず最も苦しかった頃、書くこと、表現し、伝え続けることが生きる支えとなってきた。だが今も、迷いは消えていない。

詩歩子さん
「すがるように、助けを求めるようにここに通っていた。身につまされるというか、あの頃の感情がよみがえってきて。今でも発達障害に対する誹謗中傷や偏見で苦しいけど、『生きていたら何とかなるかな』と思える」