ロシアとウクライナによるドローン攻撃とその威力
――兵器としてのドローンの特徴はどこにあるのでしょうか。
小泉 究極に機動性があることです。重要なのは、どこで機動するかだと思っています。飛行機が20世紀に出てきて、空が戦場になったわけですが、飛行機は少なくとも1000メートルか2000メートル上空を飛びます。それに対してドローンは、飛行機で飛ぶには危険な100メートルくらいの低いところを飛んでいます。このため、ドローンで偵察することで、お互いが丸見えになり、奇襲ができなくなりました。
また、攻撃では低いところを好きなように動くことができて、一番階級が高そうな相手を見つけたら狙い撃つこともできます。先日来日したウクライナのドローンメーカーのジェネラル・チェリーの関係者が「これでスナイパーがいらなくなった」と話していました。
ウクライナの公表資料では、年間400万機各種ドローンを生産しています、つまり、1日1万機強のドローンを作って、全戦線で使っていることになります。
――他にもいろいろなタイプの無人兵器が登場していますね。
小泉 無人水上艇、いわゆる水上ドローンも威力を発揮しています。私が驚異的だと感じたのは、海軍を持っていないウクライナが、無人水上艇や自爆ドローン、それに巡航ミサイルなどを組み合わせた結果として、ロシア黒海艦隊をほとんど追い出したことです。
無人水上艇が湾に入って攻撃し、同時に空からも攻撃します。一種のシステムとしてロシアの海上戦力を封じ込めているのが現状です。
――ロシアによるドローンや無人兵器の使用はどのような状況でしょうか。
小泉 ロシアはロシアで、自分たちで作っていますし、中国からも輸入しています。ロシアが使っている無人兵器で威力があるのがシャヘド(もとはイラン製)です。ただ、シャヘドはドローンというよりは巡航ミサイルの廉価版のような感じです。ファイバーグラスのようなものを樹脂で固めて作っていて、池にあるスワンボートと同じような素材でできています。
このため機体は安く作ることができて、装置は外国から汎用品をかき集めて組み立てています。その上で先頭に35キロ爆弾を載せて、遠隔操縦をすることなく決まったコースを飛んでいきます。ロシアはシャヘドを戦略爆撃のために使っています。
――遠隔操作ができなくても、攻撃としては効果があるのですか。
小泉 私はそこそこ効果があると思います。というのは、その数がとてつもなく多いからです。シャヘドの工場はタタルスタン共和国のアラブガと、ウドムルト共和国のイジェフスクの2か所にあります。アラブガは戦争が始まる前は何もありませんでしたが、ドローン工場として接収されるとどんどん拡張して、今ではシャヘドを月に6000機生産できます。これは、1回に600機のシャヘドを動員した空襲を月に10回できることを意味します。
ウクライナ側も迎撃ドローンを生産してかなり打ち落としています。迎撃率は85%から90%くらいで、かなり高くなっているものの、それでも60機程度は落ちてくることになります。最近は爆薬が50キロのものもあり、1回の空襲で5人から10人の市民が亡くなっています。集合住宅が狙われるので、一家が全滅するケースも多くなっています。国家は滅ばないけれども、確実に市民が殺され続けるため、社会にとってはストレスフルな状況です。














