ドローンが主力兵器化した初めての戦争

――ロシアとウクライナの戦争では、ドローンが戦争のゲームチェンジャーになったと言われています。ドローンがこの戦争にどのような影響を与えていると思われますか。

小泉 今回はドローンが主力兵器になった、初めての戦争ではないかと思っています。いわゆる無人偵察機のようなものは以前から使われていました。まとまった数の無人機が使われたのはベトナム戦争です。その後、アメリカやイスラエルの対テロ作戦でドローンが戦闘兵器として使われたほか、2020年のアルメニアとアゼルバイジャンの第2次ナゴルノ・カラバフ紛争でもドローンが大々的に使われました。

ただ、これらの作戦や紛争で使われた軍用ドローンは大きくて遅いので、対空ミサイルを持つ正規軍相手には役に立たないだろうと思っていました。実際にウクライナもこの戦争で使いましたが、簡単に打ち落とされました。そこで出てきたのが、いわゆるFPVドローンです。

――FPVドローンは、搭載されたカメラの映像をゴーグルやモニターで見ながら操縦するドローンですよね。

小泉 私はFPVドローンをおもちゃだと思っていました。それが、ものすごい威力を発揮し始めます。最初は偵察に使っていたのが、手榴弾をくくりつけて攻撃を始め、地雷を撒くのにも使われ始めました。他にも最前線に食料や医薬品を運ぶなど、ありとあらゆることに使われ、そうこうするうちに無人水上艇や無人地上ロボットも出てきました。兵隊を危険にさらさないように、ロボットでできることはロボットでやる方向を一気に決定づけました。

――FPVドローンの使用はウクライナ側からですか。

小泉 FPVドローンも含めて、新しいことにはウクライナ側がまず先に手をつけます。現地の部隊が創意工夫しながら、使えるものと使えないものを選別して、現地で改造して使ってみます。それが国防省の目に留まると大規模な予算がつきます。

一方のロシア側は、その様子をしばらく見ながら背後で同じようなものを大量生産して、ある時突然大規模にぶつけます。そしてウクライナ側がまた改良するといったパターンを繰り返しています。

ウクライナが使用するFPVドローンは、もともとあるものを改造して前線に出しています。ソフトウェアが良くないと言われれば、その日の夜のうちにプログラマーが必死に改良するそうです。兵器メーカーの人たちからすると卒倒するような速度で開発が進んでいて、これが最新の状況ではないでしょうか。調達のサイクルの繰り返しと、改良のサイクルの繰り返しが、ものすごい速度で起きています。

ロシア軍が迎撃したとするウクライナのドローン