他社が100円から離れるほど、セリアは強くなる
理由の2つ目は、「残存者利益」です。最後まで生き残った者だけが得られる利益、という意味の経営の言葉です。
他社がみんな「脱・100円」で高い価格帯へ移っていくと、「純粋に100円で、安心して買い物がしたい」というお客さんが、市場に取り残されます。そのお客さんは、ぜんぶセリアに集まってくる。つまり、競争相手が自分から手放していった市場を、独り占めできるわけです。
セリアの河合映治社長は、もともと銀行で企業を数字で見極める審査の仕事をしていた人物で、この「残存者利益」という言葉をはっきり使っています。「100円で利益が出ない商品は、そもそも売らない」とも言い切っていて、ビニール傘のような定番商品でも、割に合わなくなれば思い切ってやめてしまう。100円を守っているのではなく、100円で勝てる形に、会社ぜんぶを合わせているのです。
約9人のチームが、月500~700点を入れ替える
興味深いのは、セリアの代名詞である「高見えする」おしゃれな商品を、ごく少人数で生み出していると報じられていることです。少し前になりますが、2024年11月のテレビの取材によれば、当時、商品を企画する部署はわずか9人ほど。それで毎月500点から700点もの商品を入れ替えています。
なぜ可能なのか。セリアの社員がゼロからすべてを設計しているのではなく、多くのメーカーと直接取引し、販売データを共有しながら共同開発する体制をとっているからです。売れ筋のデータをにらみながら、メーカーからの提案を選び、商品化までともに磨き上げていく。プラスチックメーカーの山田化学と組んだ1個110円の精巧なミニチュアシリーズは、フィギュアや「推しぬい」の撮影を楽しむ人たちの心をつかみ、月に50万個を超えるヒットになりました。
売れなくなったら、さっと引っ込めて、次を出す。この回転の速さも、データの裏付けがあってこそです。














