キン消しからコップのフチ子へ。ブームを重ねて「定番」に
そこからカプセルトイは、時代ごとの人気者と結びついて、何度もブームを繰り返してきました。
最初の大きな波は1980年代です。「キン肉マン消しゴム」、通称「キン消し」に、当時の男の子が熱中しました。第2次は1990年代で、彩色された精巧なフィギュアが登場し、おもちゃとしての出来栄えが上がります。第3次は2000年代、総合スーパーの玩具売り場などに広がって、買える場所が一気に増えました。第4次は2010年代、コップのフチに引っかける「コップのフチ子」に代表される、アイデアで勝負する商品が増え、大人の、とくに女性のファンを呼び込みました。
そして市場が急成長した2020年代の、いまが「第5次ブーム」です。価格も、昔は100円や200円が長く続きましたが、いまは300円から400円が主流です。「大人が払っても満足できる、手ごろなコレクション」へと、立ち位置が変わってきたのです。
この第5次ブームを強く後押ししているのが「推し活」です。アニメやゲームのキャラクター、サンリオやディズニー、アイドルやVTuberまで、ありとあらゆるものがカプセルになって出てきます。なかでも勢いがあるのが、傘やバッグに付ける小さなチャーム「めじるしアクセサリー」です。人気キャラクターのものは、店に並んで1時間ほどで売り切れたり、抽選販売になったりするほどの過熱ぶりだそうです。
カプセルトイが推し活と相性のいい理由は、いくつかあります。まず、手ごろな値段で推しのグッズが手に入ること。1個300円ほどなら、気軽に集め始められます。
そして、中身が選べないために、どうしても同じものがダブってしまう。実は、このダブりが人とのつながりを生むのです。フリマアプリのメルカリで売る人もいますが、それだけではありません。同じキャラクターやアイドルが好きな仲間どうしで、「これ、ダブったから交換しない?」と声をかけ合う。ダブりが、推し活コミュニティのなかの、コミュニケーションのきっかけになっているわけです。
手ごろに集められて、ダブっても無駄にならず、むしろ同じ推しを応援する仲間との交流につながる。だからこそ、推し活をする人にとって、カプセルトイは入り口としてぴったりなのです。こうして、一過性のブームを越えて、生活に根づいた定番になってきています。
担当者ひとりが、月に2~4個の新商品を生み出す
ここで、作り手側ものぞいてみましょう。なぜ、あれほど多様な商品が次々と生まれてくるのでしょうか。実は、作り方に秘密があります。
大手メーカーの企画チームでは、担当者が一人ひとり、企画から開発、生産、販売まで、ぜんぶ一人で担当します。ひとつの商品を6か月から8か月かけて作り上げ、しかも担当者ひとりにつき、月に2つから4つの新商品を生み出していくそうです。上の人が「これを作れ」と指示することは基本的になく、一人ひとりがクリエーターに近い存在で、数か月先のトレンドを自分で読んで形にしていきます。
しかも、カプセルトイは開発のサイクルが数か月と短いため、挑戦しやすい。まず小さく出してみて、売れたら増産すればいい。外しても、すぐ次の企画にいけます。何度でも打席に立てる環境があるからこそ、攻めた企画が生まれ、売り場のあの幅広い品ぞろえにつながっているのです。














