ではまず、中国の国内です。1月13日の上海ディズニーランドはたくさんの人でごった返しています。実際にSNSでは、行列で足が疲れた、アトラクションは2時間待ちだったというような投稿もありました。さらに、1月7日の北京中心部にある北京南駅。

ここは多くの人が利用する高速鉄道の駅で、こちらも多くの人が詰めかけ、賑わっています。帰省客などでごった返しているという状況でした。帰省してる人に話を聞きますと、みんなが自由になることはいいことだが、外に出るとやはり感染への心配もあるというようなコメントもありました。
■中国政府の感染対策は?帰省しない人にはボーナスも
実際に感染対策を見ていきます。雲南省の空港では、防護服を着て移動する人の姿もあったんです。ただ、こういった状況に対して中国の地方政府も対策を講じています。上海市政府は、2022年の12月に発表した「帰省せずに年越しをする市外からの勤務者には、映画や観光地のチケットを無料で提供します」というような政策を行っています。

さらに同じく上海市です。デリバリーの配達員など、市外から来ている人で春節の期間中に帰省しない場合は毎日およそ3000円を追加支給。つまり春節は7日間あるので2万円ぐらいになり、ある程度の額になります。
さらに蘇州市の政府です。企業が従業員を市内で過ごすよう手配した場合、1人およそ1万円の補助金が支給される。おそらく従業員に1万円が支給されることになるんですが、地方政府としても帰省しない人へのボーナスを与えることで、移動を最小限にとどめようという働きかけも行っている状況です。
ホランキャスター:
春節の直前に中国としては、“ゼロコロナ政策”撤廃しますというふうに動いたわけですが、この動きについてまずどのようにご覧になってますか?
米・イェール大学助教授 成田悠輔氏:
実際に何が起きてるのか、ちょっと捉えるのが難しいなって気がすごくするんですよね。“ゼロコロナ政策”が終わった直後は感染爆発が起きて、病院もごった返して大変だみたいなイメージがあったじゃないですか。そこからちょっと経つと、今度はみんな帰省したり観光したりして人がごった返してるっていうニュースも入ってくる。さらにPCR検査に関するデータとか、陽性者に関するデータも、もうよくわからなくなってる。それから中国政府が発表しているGDPに関する経済統計も、あんまり信用できないみたいな機運がどんどん高まっている。そう考えていくと中国という国で一体何が起きてるのか、というのを正確に捉えるのがものすごく難しくなっている。もしかしたらどんどん難しくなってるのかもしれないなみたいな、ちょっと穿った見方をしてます。
ホランキャスター:
国外にいる私達だけではなくて、おそらく国内にいる方々も「わからない」というような状況があるわけですよね。
成田氏:
多分、上海みたいなところにいる人と、地方にいる人とでは、捉えている国内像とかが違う可能性もありますよね。
ホランキャスター:
中国政府としては、自由に行き来ができるように“ゼロコロナ政策”を撤廃する一方で、移動しない人にボーナスやメリットを与えるような取り組みもある。こういった、チグハグな部分から透けて見えるところっていうのはありますか。
成田氏:
中央の共産党政権と、各地方自治体の思惑が少しずれてるっていう部分もあるのかなと思いますよね。日本でも「GoToトラベル」みたいな政策がありましたよね。それの逆とも捉えられるので、どの国も考えることは一緒というか、似たような金銭的なインセンティブでどうにか制御したいということを考えるのかなと思いますね。