ボーナスに直結? 独自の社内通貨制度とは
野村:42歳で8600万円というのは、一般的な日本企業では経営幹部でもなかなか届かない金額です。どのような仕組みでこれほどの高額報酬が可能になるのでしょうか。
岡:その根幹にあるのが、ディスコ独自の社内通貨制度「Will(ウィル)」です。これは仕事のあらゆる局面で実際に流通している「お金」のようなものです。社員は仕事をすることでこのWillを稼ぎ、貯まったWillの量に応じてボーナスが決まる仕組みになっています。
野村:社員が社内で仕事を「受注」して稼ぐということですか?
岡:まさにその通りです。社内には「受注側」と「発注側」が存在します。開発、設計、組み立てといった実務だけでなく、資料作成や翻訳などのタスクひとつひとつに価格がつき、社内で取引が行われます。
野村:面白い仕組みですね。しかし、どうやって収支を管理しているのでしょうか。
岡:まず、社員は毎月、自分自身の「人件費」がコストとして引かれたマイナスの状態からスタートします。たとえば月給が50万円の人なら、マイナス50万Willを抱えた状態です。そこから仕事を受注して赤字を補填し、さらに利益を積み上げていく必要があります。
一方で、コストに対しても非常にシビアになります。会議室の使用料、PCの利用料、さらには食堂での食事や傘立ての利用にまでWillがかかります。自分の利益を最大化するために、無駄な会議を減らしたり、椅子や机を中古で済ませてコストを浮かせたりと、全社員が「個人事業主」のような感覚で動いているのです。
会社の利益が自分の取り分に直結するボーナス体系
野村:個人の収支がそのままボーナスになるということは、原資はどこから出ているのでしょうか。
岡:ボーナスの原資は、会社の「経常利益」に連動しています。会社が大きく稼いだ年は、ボーナス原資も何百億円と膨らみます。それを、個人のWill獲得量に応じて分配する仕組みです。
野村:つまり、自分だけでなく会社全体が儲からないと、自分の取り分も増えないわけですね。
岡:はい。そのため、「自分だけが稼げればいい」という考えにはなりにくいのです。会社の利益が下がればWillの価値(円への交換レート)も下がるため、組織全体でコストを削減し、高い付加価値を生み出そうという自浄作用が働きます。ディスコの社長も、「会社が儲かっているのに社員に還元しないと、社員のモチベーションを維持できない」という考えを徹底されています。














