「“嘘”をつきながら「リアル」を描く」リアルとエンタメの線引きに対するこだわり――平野監督の演出哲学

ドラマ『GIFT』第1話より

スポーツをテーマにしたドラマはこれまでにも数々放送されてきた中、本作の“舞台”となっているのは、「車いすラグビー」。監督としてだけではなく、企画・原案者として本作の“生みの親”でもある平野監督自身も、学生時代にスポーツに打ち込んでいた。

「僕はラグビーをしていたのですが、車いすラグビーと同じように“タックル”で体がぶつかるだけではなくて、ベンチか、他のプレーヤーからなのか、思わぬ“声”が届いた瞬間は、覚えています。そこで僕は“何か”をもらったのかな…と。その経験は、ドラマに生かされているのかなと思います」

スポーツ経験者でもある平野監督が、本作で描きたかった車いすラグビーの試合シーンは、どのようなものだったのだろうか。

「試合シーンに関しては、とことん“エンターテインメント”で見せていこう、と最初から決めていました。VFX(視覚効果)も取り入れながら、かなりデフォルメもしています」

第1話で登場した、「ブルズ」のエース・涼と、強豪チーム「シャークヘッド」のエース・谷口聡一(演:細田佳央太)が競り合うシーンも、その一つだ。

「車いすラグビーの監修をしていただいた峰島靖さんに、『ここはちょっとデフォルメした表現でもいいですよね?』と常に相談していました。一方で、リアルに描くために“嘘をついてはいけない”と考えるシーンもありました。リアルとエンタメの線引きに対するこだわりはすごくありましたね」

登場人物一人一人のキャラクター描写についても、リアルに描くために「真摯(しんし)にやっていこう」と向き合った。