ロラン・ティリ監督が見る“石川祐希”
求められるものはまだある。
『本能の勝負師』。ロラン・ティリ監督は石川についてそう評する。
「石川は今やアウトサイドの絶対的なリーダー。まず彼が“自由(Free)”にプレーする姿を見たい。ゲームは非常に速く進んでいます。コート上の選手は本能を理解し、どうプレーすべきかを自分で判断しなければなりません。ルールに従うのではなく、時には“自由”にプレーしてほしい」とティリ監督は話す。
「監督が、自分のプレースタイルを信頼して考えてくれているのであれば、その裏には重い“責任”が、同時にコートの中で伴ってくる。その自由の裏にある“結果(勝敗への全責任)”も、同時に自分たちの実力として100%問われる部分。与えられた自由なコートの中で、自分が絶対に100%“結果”を出せることが重要になる。厳しい勝負どころで結果を出さないと、監督から信頼してフリーに(自由に)させてもらっている意味が、何一つ無くなってしまう。日々ただ気持ちよく打つんじゃなくて、自分の頭で最善の戦術を考えながら、その自由の裏にある重い責任を、キャプテンとしてしっかりと背負って立ちたい」
これは キャプテンとしての覚悟そのものだ。
進化の先にあるロス五輪に向けてのカギについて問うと、「『“サイドアウト(レセプションからの最初の攻撃)”をきっちり、完璧に1本で切り返す』こと。 そこは、僕がペルーシャにいた時も全くそうだし、世界一になるためには、このサイドアウトを毎セットきっちり(高い決定率で)切らなければ、勝負の世界において日本代表に勝ち目は無い。そこは大前提。その上で、そこからブレイク(連続得点)を奪うための戦術としては、『“サーブ”が、今シーズンも絶対に一番の決定的な鍵(キーポイント)』になる。 ブロックやディフェンスの関係性(トータルディフェンス)に関しては、今の日本のクオリティは決して悪くない。レシーブが綺麗に相手に返されて、真ん中から“ミドルのクイック(速攻)”を世界に使われるケースが多くなると、日本の高さだとちょっとディフェンスとしてはきついところもあるが、今年は真ん中のミドルブロッカーに、サイズのある大きい選手たちが万全のコンディションでしっかり戻ってきたので去年よりは効果は上がると思う」。
道筋は見えている。あとは準備をやり切ること。小さな積み重ねしかない。
「『自分たちはこの大会に向けて、これ以上もう何もやることは無かった。これ以上無いくらい、世界一の最高の準備を100%やり切った!』と、自分たちの胸を張ってハッキリと言えるような準備を、最低限しておかなければいけないと思っている。 そこまで『自分の持っているすべてを整えた!』と言える、それだけの強い、隙のない覚悟と自信を持って、今年のアジア選手権の公式戦のコートに臨まなければいけない。そうでなければ、去年の世界バレーでの悔しい敗戦からの“学び”、チームとしての“本当の成長”に繋げられたとは言えない。負けを恐れずに、これ以上ない準備をやり切ることは、僕にとっては“結果”以上に、アスリートのプライドとして、今シーズン一番大切にしたい、こだわっていきたいポイントなんです」
30歳は、上からも下からも学べる最高の特等席。
その景色の真ん中で、石川祐希は今日も自分に問い続ける。
「もっと強くなれるか」と。

















