“コスト高騰”に悲鳴をあげる米農家 "米農家離れ”加速を懸念

中東情勢の影響は米作りの現場にも及んでいる。

今週、田植えのピークを迎えた秋田県大潟村。土を整える「代かき」のため重機がせわしなく動いていた。

大潟村あきたこまち生産者協会 涌井徹代表(77)
「1万5000〜6000リッター。ドラム缶で80本くらい使う」

Q.それはどのくらいの期間で?
「2か月間」

燃料の「軽油」は、中東情勢の影響で一時1Lあたり178.4円に高騰(3月16日)。

政府からの補助金が入っても、2025年の同じ時期と比べて5円ほど高い158円前後での高止まりが続いている。

約170ヘクタールの広大な水田を抱える涌井さんにとっては、痛手となっている。さらに。

大潟村あきたこまち生産者協会 涌井代表(77)
「まず肥料をまく。種と肥料を一緒にまく」
「我々人間がご飯を食べるのと同じこと。肥料は作物にとってのご飯」

作物の成長に欠かせない肥料の値上がりが追い打ちをかける。

世界で輸出される全肥料の2割~3割がホルムズ海峡を通っているため、世界中で肥料の価格が上昇。化学肥料をほとんど輸入に頼る日本にも影響が出ている。

国内で流通する肥料の半数を扱うJA全農は6月から最大で14.5%値上げした(6月~10月)。

涌井さんたち農家のもとに届く段階になると、肥料の価格はさらに上がるという。

大潟村あきたこまち生産者協会 涌井代表(77)
「(肥料の)原料単価で15%上がる。原料を加工し運送してくる。全てにおいてコストアップになる。運送に物流、ガソリン、油代、ガス。(手元に届く)商品単価としては多分2割以上あがる」

米の加工販売も行っている涌井さん。この工場では、パックご飯を1時間で約1万800食作っている。ひと月で見ると550万食にのぼる。

米を炊くガス代やパック容器代など、1食あたりにすると10円ほどの値上がりで、数千万円のコスト増加となっている。

大潟村あきたこまち生産者協会 涌井代表(77)
「電気、ガス、容器、トップシール、包装。みんな値上がりする。もう全部、もう全部だもんね」

運搬する時に段ボールが崩れないよう包むフィルムも、ナフサ由来だ。現在は、コストを切り詰めているが、今後は“価格転嫁も避けられない"と話す。

大潟村あきたこまち生産者協会 涌井代表(77)
「中東問題は油の問題から、肥料・ナフサの問題、全て」

Q.コスト面で言うと、結構な負担になる?
「コストが上がった分、商品として価格に転嫁できればいい。なかなか日本の農家も含めて、弱いから転嫁できない」

農水省が5年ごとに発表している統計によると、2025年時点で米農家は、15年前と比べ半減している。

涌井さんは、中東情勢の影響で経営が厳しくなれば、米農家離れがさらに加速するのではないかと懸念している。

大潟村あきたこまち生産者協会 涌井代表(77)
「もう農業を辞める準備に入りますと、これがきっかけになる。去年は米価が高くなった。それでも農業を辞める人が止まらない。今回は農業を辞めるための背中を押される、みんな一挙に。国はしっかりと考えていかないとダメかなと」