恐怖感が突き動かした衝動
その電話の相手は、松山市保健所の職員だった。
洋介被告の病状や入院について相談をしている内容が耳に入った。
「また精神病院に入院させられる」
「入院している間に障害等級が引き上げられて、自分は一生退院できなくなる」
「障害者年金を母親に取られてしまう」
過去の強制入院による“トラウマ”と、病気の影響により増大した妄想は、洋介被告を極限のパニック状態へと追い込む。
「早くこの電話を止めさせなければならない」
階段を駆け下りると、ダイニングテーブルに置かれていた、重さ約1.3キロのガラス製花瓶を手に取る。
そして、玄関に腰掛けて保健所の職員と電話中だった弘子さんの背後へと歩みを進める。














