若手の学芸員らが旗振り役となり、美術館の新たな楽しみ方を提案します。「金属」をテーマに幅広い分野や時代の作品を集めた企画展が、県立美術館で開かれています。


小松市出身の人間国宝、初代魚住為楽が手がけた「砂張銅鑼(さはりどら)」は、実際の音色を聴きながら鑑賞することができます。

今月4日から始まった企画展「かねは雄弁に語りき」は、県立美術館の所蔵品およそ4,000点の中から、金属をテーマにした85の作品を一堂に展示しています。企画したのは、普段は古美術や工芸、彫刻などそれぞれの専門分野を担当している5人の若手学芸員。去年の夏頃から準備を進めてきました。


県立美術館・学芸主任の中澤菜見子さん
「他のジャンルや少し不勉強なものも多かったので一から勉強し直し。見慣れた作品ではあるが気づきも沢山あり、新鮮な気持ちで作品を見ることができた」

金属が持つ様々な表情を楽しんでもらおうと、こだわったのは作品の見せ方。鉄の輪を組み合わせて作られた「鉄自在蛇置物」は、学芸員が実際に作品に触れている映像を会場で流すことで、蛇のリアルな動きを体感してもらう狙いです。

中澤さん
「ガラスでは見れないところ聞けない音、見れない動き、細かいところもSNSなどでこまめに発信していて少しでも楽しんでもらえるよう工夫をした。金属は冷たくて硬いというイメージがあるかもしれないが、実際に足を運んでもらい金属が持つ表情や語りかけてくるものを感じ取ってもらえたら嬉しい」

若手学芸員たちの思いを形にした企画展「かねは雄弁に語りき」は、県立美術館で来月5日まで開かれています。