世界がユニクロを選ぶ「5つの決定的な要因」

野村:6年連続で最高益を更新し、海外事業も非常に好調とのことですが、具体的にどのような要因が重なって今の成功があるのでしょうか。

comugi:今回はリサーチャーとして、5つのポイントを整理してきました。1つ目は、パンデミック(コロナ禍)による生活様式の変化です。リモートワークが普及し、スーツをびしっと着こなすスタイルから、日常着で働くハイブリッドな勤務形態、すなわち「ビジネスカジュアル」へと移行しました。そこにユニクロの得意とする日常着がぴったりとはまったのです。

2つ目は、ファストファッションへの逆風です。ZARA、H&M、SHEINのような「安くて速い」ファッションが世界を席巻しましたが、現在は環境負荷の高さが問題視されています。特に欧州では、実体を伴わない環境アピールを指す「グリーンウォッシング」ではないかとの批判も起きています。

野村:ユニクロもそのカテゴリーに含まれるという見方もありそうですが、他社とは何が違うのでしょうか。

comugi:決定的な違いは「耐久性」です。ファストファッションが頻繁な買い替えを前提としているのに対し、ユニクロは機能性が高く丈夫で、長く着続けることができます。「安価なのにへたらない」点が、今のサステナブルな時代背景に評価されているのです。また、グローバルなサプライチェーンを構築し、在庫システムを洗練させ、改善の積み重ねを続けてきた強みがあります。

3つ目は、ラグジュアリーブランドの停滞です。この3年ほど各高級ブランドは値上げを続けてきましたが、あるレポートによると、成長の8割は単なる値上げによるものだと指摘されています。品質や創造性が向上していないのに価格だけが上がっている状況に、消費者が反発し始めています。

野村:そこで、4つ目のトレンドが出てくるわけですね。

comugi:はい、4つ目は「クワイエット・ラグジュアリー(控えめな贅沢)」というトレンドの浮上です。大きなロゴや派手な装飾を避け、無地で落ち着いた色合い、素材の良さで勝負するスタイルです。マーク・ザッカーバーグ氏のような著名人もこうした服を好みますが、本物の高級ブランドは非常に高価です。そこで、手頃な価格で高品質なユニクロが再発見されました。「高級ブランドの代わりにユニクロの黒タートルを着るのがスマートである」というムーブメントが、米国などで起きているのです。

野村:中国の富裕層の間でも、派手なロゴ入りの商品を避ける傾向があるという話を聞きますね。

comugi:そうですね。そして5つ目は、マクロ経済の不透明感です。世界的なインフレや地政学リスクにより消費者が財布の紐を締める中、安価で高品質なものを求めるようになり、高所得層にとっても「ユニクロを着ることは決して格好悪いことではない」という認識が広がりました。これが業績に大きく寄与しています。