強さ③ 財団が株主だから、50年先を見られる
ロレックスには、上場企業なら必ず背負う「四半期ごとの決算プレッシャー」がありません。
ロレックスの株式は、ハンス・ヴィルスドルフ財団が100%握っています。創業者が1945年に設立した財団です。つまり、株主はいるのですが、それは利益の最大化を求めて毎期せかしてくる市場や外部の投資家ではなく、ブランドを守るために設けられた財団なのです。だから目先の売上を3か月単位で追う必要がありません。経営の時間軸が、ほかの会社とはまるで違うのです。
ロレックスがしばしば「準非営利企業(クアジ・ノンプロフィット)」と呼ばれるのは、このためです。利益の多くは財団を通じて社会に還元されます。だから彼らが優先するのは、「今年いくら売るか」ではなく、「50年後もロレックスがロレックスであること」です。希少性を守るために生産を絞るという、上場企業にはなかなかできない判断ができるのも、急がなくていい立場にいるからなのです。
強さ④ 変えないことを、いちばん大事にする
最後の柱は、一見地味ですが、もっとも大きな役割を果たしています。「アイコンを変えすぎない」ことです。
ロレックスの主力モデルは、どれも驚くほど古いものです。オイスターは1926年、デイトジャストは1945年、サブマリーナーは1953年、GMTマスターは1954年、デイトナは1963年。何十年も前のデザインを、少しずつ手を入れながら、基本の姿はそのまま守り続けています。革新しているように見せすぎない革新、とでも言えばいいでしょうか。
ここで思い出すのが、エルメスのバーキンです。バーキンもまた、デザインをころころ変えず、あえて簡単には手に入らないようにすることで「永遠の定番」になりました。流行を追わないからこそ、時間が経っても古くならない。むしろ時間が価値を足してくれます。ロレックスもバーキンも、「変わらないこと」を最大の武器にしているのです。














