2年連続で二番福 「次こそ一番福」と意気込んでいた矢先に事故

 実は平尾さん、かつては走る側として神事に参加していました。今から26年前、1997年の開門神事で二番福だったのが、陸上部の友人に誘われて参加した当時大学生の平尾さんです。

 翌1998年も平尾さんは二番福。

 その次の年の1999年、平尾さんはスタートダッシュに成功し独走態勢となりますが、あと一歩のところで大転倒し、悲願の一番福を逃しました。

 (開門神事講社・講長 平尾亮さん)
 「『やった!一番福』って思った瞬間に世界が一回転したんでね。わけわからんかった。まあ、僕っぽいといえば僕っぽいですけど」

 次こそは一番福にと意気込んでいた平尾さんを、突然の事故が襲います。1999年12月、開門神事を2週間後に控えたクリスマスの日に交通事故にあい、長期入院。右足に障がいが残りました。

 ふさぎこむ平尾さんを立ち直らせてくれたのは、友人である市村拓也さんの言葉でした。

 (開門神事講社 講長・平尾亮さん)
 「『えべっさんが助けてくれたんや』と。ほんまやったら死んでいてもおかしくない事故やったのに、助けてくれはったんやって言ってくれたんですよね。それやったら恩返しというか、えべっさんへの恩返しをしないといけないなと思ったのは、裏方で本格的にやり始めるきっかけになりましたね」

 以来、運営団体の代表として2009年から14年間、神事を支え続けてきました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大でおととし・去年と2年続けて、福男選びは中止を余儀なくされました。

 去年11月、感染状況が落ち着いていたことなどから、3年ぶりに福男選びを行うことが決まりましたが、平尾さんは手放しでは喜べません。

 (運営会議で話す平尾亮さん)
 「(門の前が)割とぎゅうぎゅう詰めになるから…」

 密にならずに安全に運営するにはどうすればいいか。新しい開門神事の在り方を探る日々が続きました。