道路のわずかな傾斜が「壁」になる――ロケハンにも持ち込んだ“ラグ車”

ドラマ 『GIFT』(第2話)より

映像化にあたり、平野監督をはじめとするスタッフが最も重視しているのが、「車いす目線」の徹底だ。ロケハン(撮影場所の下見)の際、スタッフは必ず車いすとラグ車(競技用の車いす)の両方に乗るようにしているという。そこには、歩いているだけでは決して気づけない「道路構造」の現実がある。

「真っすぐに漕(こ)ごうとしても、次第に進行方向がずれていくんです。それを峰島さんに言ったら、『結構最初は苦労するんですよね』という話をされて。だからどこに行ってもまず自分たちが車いすに乗り、段差や車いすが回れる広さがあるかなどの確認をします。立っているといい景色だなと思う場所でも、車いすの目線ではこれは無理ということが分かるんです」

水はけのために設計された道路のわずかな傾斜が、車いすで通ろうとすると大きな障壁になる。ドラマのリアリティを追求する中で、道路の構造一つ取っても、これまでには見えなかった現実を目の当たりにすることになる。

峰島さんとは、ロケハンだけでなく劇中に登場する車いすラグビーの本格的な「チーム作り」でも手を取り合った。

平野監督は、選手役キャストの練習時間に制約がある中で、峰島さんに練習シーンや試合シーンの「型」を作ってもらいそれをトレースする方法を、当初相談した。しかし峰島さんからの回答はそれとは全く違ったものだった。

峰島さんは「それは一見近道のようで遠回りになってしまう」と「基礎から」練習。「結果、そこから徐々に全員がスキルアップしていきました。基礎から始めたことで上達が速く、撮影でも峰島さんが『もうちょっとこっちにポジション取って』と言ったらすぐに理解して対応できるようになっていて、本当に感謝です」と語る。

ドラマ 『GIFT』(第4話)より