先日、非常な株高についてのニュースがありました。今年(2026年)の5月13日、「日経平均株価は6万3272円11銭で取引を終え、終値ベースで初めて6万3000円台に乗せた」(2026年5月14日朝日新聞)とのこと。

日経平均株価が「初めて3万円台に到達したのは1980年代のバブル期」(2023年5月18日朝日新聞デジタル)。89年12月29日の3万8915円87銭(終値、以下同様)という記録はその後34年間破られず。

日本の景気が伝説的によかった80年代のバブル期でも3万円台だった株価。それが24年(2月22日、3万9098円68銭)に更新されると、その年のうちに4万円台、翌25年に5万円台と、あれよあれよと大台を突破。

筆者はバブル期に学生で、株価の動向を気にした記憶はほとんどありませんが、世の中の浮かれた気分や高揚感は印象にあり。それに比べて昨今は、世界中で戦争や紛争が絶えず、石油も手に入りにくくて物価も高く、毎日気詰まりな感じ。

でも、株価がバブル期をはるかに超えたなら、株を持っている人はさぞかし潤っていることだろうと想像。世の中も「株を持っていたらなあ」とか「株を持ちたいなあ」とかいった気持ちが強まっているのでは?

やや下世話な話ながら、一体、今、誰がどうやって潤おうとしているのか。そこが知りたくて、今回は、株券や投資信託などの資産についての意識や人々の行動の動向をデータで探ってみます。

今ほしいのは「有事の金」、そして株

当コラムでよく取り上げるTBS生活DATAライブラリ定例全国調査(注1)では、仕事や人間関係、娯楽など、日常身辺の様々な事柄から、現在関心を持っているものを複数選ぶ質問を長期にわたって実施。そのなかの「預貯金・収入・利殖」という選択肢(以下「利殖など」)に注目して、お金を貯めたり増やすことへの関心を追いかけました。

と、その前に1つご注意。この「日常身辺の関心事」、ふつうにいくつでもあてはまるものを選んでもらうと、あれもこれも選ばれて「何でも関心あり」になりがち。そこで、回答にメリハリをつけるために「3つまで選択可」(three Answersの略で「3A」)とすることもあります。

TBS生活DATAライブラリ定例全国調査では基本は3Aながら、「いくつでも選択可」(multiple Answersの略で「MA」)の時期もありました。次の折れ線グラフに示した96年以降の結果では、数字の出方がまったく違うことが一目瞭然(注2)。併せて、2004年以降、MAで調べている「あなたがほしいと思うもの」のなかから、各種の金融資産などの選択率推移も示してみました。

「利殖など」は、MAだった00年~04年の選択率から、当時ならふつうに尋ねれば3人に1人くらいが関心ありと答える話題と考えられます。これを3Aに絞ると、MA直前の90年代後半に1割ほどだったのが、05年以降は2割に上昇。これが19年に急増して、現在は3割弱で推移。

2019年は、老後の生活資金不足という「老後2000万円問題」が取り沙汰され(注3)、それまで8%の消費税率が10%に上がった年。人々が収入の不足や支出の増加を、そして「利殖など」を強く意識した年といえます。

では、人々はどうやって資産を形成したいと思っているのか。

実際に保有できるかどうかはともかく、最も「ほしい」と思われているのは11年から選択肢に加わった「金・プラチナ」で、22年に急上昇。

22年は、ロシアのウクライナ侵攻が始まり、その影響で原油や天然ガス、穀物などのエネルギー・資源価格が高騰して、世界的なインフレが進行。加えて日米の金利差を背景に猛烈な円安も進行(年初の115円付近から、一時151円台まで下落)。そこで、いわゆる「有事の金」意識がドンドン高まっていく様が、如実にグラフに現れている模様。

金・プラチナの次に人気なのが、23年から急上昇の「株・株券」。

23年は、翌24年1月に新NISA(少額投資非課税制度)開始を控えた年で、「低金利の預貯金だと物価上昇で実質目減りしてしまうため、積極的な資産増加を考えるべき」という投資機運が高まったのかも。

そうした機運は「投資信託」や「外貨預金」の選好も押し上げた模様ながら、株ほどのメジャーな人気はない感じ。この期に及んで数字がほとんど変わらない「国債・地方債」は視野にも入っていなさそう。