AI時代のマネジメント:やりたくないことは「やりたくない」と爽やかに言う重要性

野村:では、こうした罠に陥らないためにリーダーはどこから行動を変えればよいのでしょうか。

堀田:「自己犠牲をしないことを徹底する」と認識することです。これからの時代は、やりたくないこと、自分がやるべきではないことは「やりたくない」と爽やかに伝えることが極めて重要になります。

野村:「やりたくない」と言うのは、少し勇気がいりそうですね。

堀田:多くの人は、仕事に対して「この人はその業務をこなせる能力があるかどうか」という視点で見がちです。しかし、それでは能力の高い人がどんどん仕事を押し付けられて損をする世界になってしまいます。それは組織として不健全ですし、おかしな構造です。

ですから、能力の有無ではなく、「やりたいか、やりたくないか」を基準にして、リーダー自身が率先して実践するべきです。例えば「私はこのメールを返したくありません」と。

野村:はっきりと口に出してしまうわけですね。

堀田:そうです。「あなたが返してください」と依頼する。もし部下がやり方を知らなければ「自分で考えてください」と突き放す。これは単なる丸投げではなく、適切に「仕事を依頼する」ということです。業務を自分から手放す意識を持つことが大切です。

AIを活用して「指示出し」や「業務」をスムーズに任せる

野村:手放す際、AIは味方になってくれるのでしょうか。

堀田:部下への的確な指示書の作成をAIに相談すればいいのです。「こういうタスクを部下に頼みたいが、どう伝えれば分かりやすいか」と聞くと、優れた返答が得られます。また、部下の側も分からないことをAIに質問して解決できるようになります。AIを介在させることで、人に仕事を任せるハードルは格段に下がっています。

野村:やりたくない業務はどんどん仕分けて誰かに振っていくという気概でよいのでしょうか。

堀田:積極的に手放すべきです。今は部下だけでなく「AIに任せる」という選択肢もあります。例えばClaudeの機能を活用すれば、数行の指示(プロンプト)を入力するだけで、ちょうどいいトーンの返信文を自動で作成できます。こうしたツールを使えば、心理的な摩擦もなく業務をこなしていくことが可能です。