マネージャーの本当の主たる責務は「合意形成の設計」

野村:リーダーとしては「自分は何をやりたいのか、やりたくないのか」という心の声をキャッチすることがますます重要になりますね。

堀田:そこが非常に重要です。そしてその上で、やはり「合意形成」が大切になります。

野村:もし両者ともに「やりたくない」タスクが存在する場合、どう対処すればよいのでしょうか。

堀田:なぜやりたくないのか、理由を明確に掘り下げます。まず「これは業務命令として遂行する必要がある」という前提を明確にした上で、リーダーとしてどのような支援ができるかを考えます。マネージャーの本来の役割は、与えられたリソースの中で「ゴールを達成すること」です。特定の業務自体を自分でこなす必要はなく、手段についての裁量はマネージャーにあります。

野村:「自分が手を動かすこと」ではなく、「成果を出すこと」に責任があるわけですね。

堀田:その通りです。全ての業務を他の人やAIに任せる権利がマネージャーにはあります。本質的な仕事は、相手の立場に立ちながら、お互いに気持ちよく仕事ができる「合意」を結ぶこと。その設計に真摯に向き合うことこそが、最も健全なリーダーシップの姿だと考えています。

合意形成を成功させるコツ:相手に合わせたボールを投げる

野村:最後に、合意形成をスムーズに行うためのコツを教えてください。

堀田:「相手に期待しすぎないこと」、そして「相手は何であれば受け取れるか」という想像力を持つことです。キャッチボールと同じで、相手が受け取りやすい球を投げてあげることが基本です。

野村:相手の立場に立ったボールの投げ方とは、具体的にどのようなことでしょうか。

堀田:メンバーのタイプによって、目標を提示されるのがいいのか、プロセスを指示されるのがいいのかは異なります。ストレングスファインダーなどのアセスメントツールも有効です。AIに「ストレングスファインダーで〇〇という資質を持つ部下に、気持ちよく引き受けてもらうための文面を考えてほしい」と指示を出すのも一つの手です。

野村:AIの力も借りながら、相手に合わせたコミュニケーションをデザインしていく。これこそが、新しいリーダーの姿ですね。

<聞き手・野村高文>
Podcastプロデューサー・編集者。PHP研究所、ボストン・コンサルティング・グループ、NewsPicksを経て独立し、現在はPodcast Studio Chronicle代表。毎週月曜日の朝6時に配信しているTBS Podcast「東京ビジネスハブ」のパーソナリティを務める。