地政学リスクへの対応と専門家の「内部化」

野村:「3つの潮流」の2つ目について教えてください。

渡辺:「地政学(ジオポリティクス)」というテーマの台頭です。10年前であれば、コンサルティングの現場で地政学が主要なテーマになることは稀でした。

しかし現在は、トランプ政権の動向、ロシア・ウクライナ情勢、米中の覇権争いといった不確実性が、企業のサプライチェーンや投資判断に直結するようになりました。これを無視して経営戦略を立てることは不可能です。

野村:それに対し、コンサルティングファームはどう対応しているのですか。

渡辺:興味深いことに、各ファームはマクロ経済や国際政治の「専門家」を自社で抱え始めています。かつては外部のエキスパートにインタビューして知見を得ていたものを、今は社内にエコノミストや技術専門家による専門チームを組織し、各プロジェクトに示唆を提供できる体制を整えています。

野村:まるで総合商社のような機能ですね。

渡辺:まさにその通りです。アクセンチュアやビッグ4(デロイト、PwC、KPMG、EY)のようなグローバルなネットワークを持つファームほど、膨大なデータを解析してリスクを予測し、具体的な対策を提言する能力を強化しています。日本企業のグローバル展開において、この地政学対応は今や不可欠な機能となっています。