高校生ら21人が死傷した磐越道のバス事故。子どもの命を守る対策は、どこまで明文化されているのでしょうか。
公立高校の部活動の遠征における移動手段について、「10の都府県」でガイドラインなどを設けていないことがJNNの取材で分かりました。
■部活遠征「県外は原則禁止」も
静岡県・富士市にある中学校では、部活動の”遠征ルール”を厳しく定めています。
富士市教育委員会 学校教務課 野村直樹課長
「時間的な負担もそうですが、金額的なものもあると思う。総合的に考えた時に、一定のルールを設けた方が良いのではないか」
富士市では練習試合は片道1時間以内の場所まで。基本的に県外への遠征は禁止としています。
狙いは、生徒と保護者の負担軽減、そして遠征先での交通事故の防止です。
公式戦で勝ち進んだ際には、大型バスで遠征する可能性があります。
静岡県・富士市内にある中学校教諭
「(ドライバーの)免許証やこれまでの実務の部分の内容も改めて、子どもの安全を守るためにしっかりと、より丁寧な情報共有をしていくことが必要になるのかな」
■繰り返された悲劇 過去の教訓は
約20年前、北海道・十勝郡で高校生が犠牲となる悲惨な事故がありました。
亡くなったのは、釧路市内にある高校に通う、将来を有望視されていたスピードスケートの選手(18)でした。
顧問が運転する自家用車で大会に向かう途中、大型トレーラと衝突。
北海道教育委員会は、事故が起きた2005年より前から移動は公共交通機関・貸し切りバスが原則で、顧問の自家用車に生徒を乗せて運転することは例外を除き禁止されていました。
こうした教訓が北海道にはあったはずでしたが、5月3日、北海道の道立高校の教員が部活動の移動で生徒ら9人が乗っていたレンタカーを運転していた際、動物を避けようとして横転する事故を起こしました。
この事故について、北海道教育委員会は教員が部活動の移動でレンタカーを使用することを「認めていない」ことを把握していなかったということです。
今後の対応について部活動などの生徒の引率は公共交通機関・貸し切りバスが原則であることを改めて周知していくとしています。
■相次ぐ部活動の移動での事故 各自治体ではどのような対策が?
日比麻音子キャスター:
JNNの調査によると、各都道府県の教育委員会にアンケートを行いました。
【“個別のルール”を設けている?】
設けている 37道府県
設けていない 10都府県
「設けている」という地域のルールをいくつか例に見てみます。
【石川県】
▼原則、公共交通機関の利用やバス会社の借り上げバス利用
(難しい場合)教職員の自家用車も可とされています。(レンタカー不可)
・1日の走行距離や時間に制限
・深夜の運転は禁止
・自動車保険に要加入
・教職員の同乗については明記なし
【長野県】
▼原則 公共交通機関を利用
業者が派遣するプロの運転手が運転するなどの運転手に関するルールも設けられています。
公共交通機関の利用が難しい場合は、
●パターン(1)
貸し切りバスを依頼
●パターン(2)
教員の車/学校のバス/レンタカーを「公用車」として登録
校長への書類提出・承認の上、許可を得た教職員のみが運転
■求められる安心安全の管理
15日、松本文科大臣は「多様な実態があり様々な移動手段が用いられているということは承知している。安全よりも費用が優先されることは決してあってはならない」と、コメントしました。
ただ現状、全国一律でのルール作りというのは進められていません。
名古屋大学大学院の内田良教授は、「部活動だからといって自主性のもとに任せるものではなく、安心安全については、全国で対応を揃えていくべき」と言います。そのためにも、「国が音頭をとって部活動全体の安全管理をどうしていくか考えてほしい」と呼びかけています。
部活動というのは確かにどういった活動をするのか、どういった練習を続けるのかといった自主性が尊重されるものではありますが、安心安全の「管理」については生徒のみならず、保護者にとっても安心できるように1日でも早い対応が求められると思います。
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