元横綱照ノ富士の伊勢ケ浜親方が弟子に暴力を振るった問題で、大相撲ファンの賛否が分かれている。2階級の降格と3か月の報酬減額の処分は重い。部屋は集団指導体制で日本相撲協会と一門の監視下に置かれることにはなった。だが、師匠本人の不祥事ながらその立場は継続され、部屋の閉鎖等もなかった。過去の事例との比較で見解が割れている。
相撲協会の発表によると、事実関係はこうだ。問題が起きたのは3月の春場所(エディオンアリーナ大阪)前の2月21日。この日伊勢ケ浜親方は弟子を従え、午前3時頃から東京都港区西麻布の会員制ラウンジで後援者らと会合を開いていた。
その席で酔った幕内伯乃富士が、後援者の知人女性の太ももを触るなどの不適切な行為を行ったという。親方は後援者の怒鳴り声で気付いたようだ。いったん店の外に出て行った伯乃富士を席に連れ戻させて、「飲み過ぎて、覚えていないじゃあすまされないんだぞ。分かっているのか」と注意するとともに、拳で左頬を一発、平手で顔面を一発叩いたという。
春場所でまだ顔の腫れていた伯乃富士は、その場で後援者に謝罪した。
2日後、親方は自ら相撲協会の当時のコンプライアンス部長である勝ノ浦親方(元幕内起利錦)に事実関係を報告。「同席していた(幕内)錦富士にもその時のことを聞いて欲しい」と申し出て、翌24日、本人、伯乃富士、錦富士の3人が国技館で事情を聞かれた。
その後、協会は調査中として、結論を先延ばしに。春場所、新しい役員改選(任期2年)等を全て終えて、新年度になった4月9日の臨時理事会でようやく処分を出す。親方には理事長を筆頭に七つある年寄の序列で5番目の委員から最下位の平年寄への降格と、3か月間10%の報酬減額。今後は先代師匠(元横綱旭富士)ら部屋付の4人の親方とともに集団で指導する形を取るようにすることも決めて、部屋は無期限で協会、一門の指導・監督下に置くとした。以前にも同様のトラブルで外出を禁止されたことのある伯乃富士には厳重注意処分が下された。
臨時理事会ではコンプライアンス委員会から出された意見答申がそのまま処分となり、異論は出なかったという。藤島広報部長(元大関武双山)は、「今までの事例と合わせて処分は妥当。特に反対はなかった。
伊勢ケ浜親方には八角理事長(元横綱北勝海)から『師匠の自覚を持ってしっかりするように』と伝えた」と話した。処分が甘いとする意見に代表されるのは2020年7月、当時師匠だった中川親方(元幕内旭里)の例があることだ。弟子に日常的に暴力を振るい、極めて威圧的な暴言を吐いていたことが明らかになった時に、2階級降格と部屋の閉鎖処分が取られた。
また、記憶に新しいのが24年2月に弟子の幕内北青鵬が同じく日常的に部屋の力士に暴力を振るっていたことが判明した問題だ。師匠の宮城野親方(当時=元横綱白鵬)が、2階級降格と3か月20%の報酬減額の処分を受けた。それに伴い部屋は一門の伊勢ケ浜部屋の預かりとなることとなり、現在に至る。北青鵬は直後に引退。部屋の再開が認められずに宮城野親方自身も2年後には自ら退職した。














