停戦ラインとは「睨み合う前線を政治的に固定するもの」
―――一方でこんなニュースも伝わってきました。アメリカの『ウォールストリートジャーナル』によりますと、侵攻開始から1年となる2月24日に合わせて和平案を提示するのではないかと。ただ佐々木教授によると「両国の要求はともに受け入れがたいものになりそう」ということで、ウクライナの要求しそうなことは「ウクライナのNATO加盟か、それに近い安全保障体制の確立」そして「国境をソ連崩壊後の状態に戻せ」ということ。一方のロシアの要求は「国際社会に対して経済制裁解除。ウクライナに対して4州併合を受け入れること」確かに噛み合いそうにないという感想ですね。
(三澤肇解説委員)どこで線引きをするのか、非常に難しく、さらにどこが仲介に入るのかっていうことが重要です。ジョージアとロシアがやったときには、フランスが仲介に入って線引きしたんだけど、今でも南オセチアとアブハジアというロシアの占領地域が国中残ってますから。そういう形で残るんですよね。どこかで妥協しなきゃいけないんですけどもどこが仲介に入ってくるのか、非常に注目しています。
(佐々木教授)プーチン大統領は1月3日に既にトルコのエルドアン大統領と話し合っております。エルドアン大統領はアメリカとも話ができるNATO加盟国ですありますので、トルコが動くことが、和平交渉に向かうんではないかという動向になると思います。
―――停戦ラインについて三つの可能性は①2014年2月までのウクライナ+クリミア半島も含めた範囲②2022年2月23日・侵攻前までの範囲(クリミア半島はロシアが一方的に併合、ルハンシク・ドネツクの一部も親ロシア派による人民共和国)③2022年9月30日の4州併合宣言後(ルハンシク、ドネツク、ザポリージャ、ヘルソンをロシアが一方的に併合)この可能性ですけども。※地図はこちら
まず、停戦ラインというのは、仲介国が入って両国のトップ首脳が「停戦をしましょう」と今睨み合ってる前線をそこに政治的に固定するものなんですね。例えば朝鮮戦争があって70年以上経ちましたが北緯38度線がその例だと思っていただければと思います。ではウクライナとロシアとの戦争において、38度ラインに当たるものはどこかと、この3つのラインを提示してみました。
今は③の状況。4州をロシアが併合しウクライナが支配している地域もありますが、ここから12~1月の段階で、ヘルソン州の州都が奪還され、東部でも前線がロシア側に動いたりウクライナに動いたりしております。そこから、だんだんロシアが押し込まれている状況、そうすると②まで来るのかどうか、去年2月24日の段階まで来るか、もしここの段階になりますと「ロシアの敗北」を意味するんですね。前線がどんどん2月24日時点に近づいていくと、敗北を意味する。そうするとプーチン大統領が様々なことをやってくる、核や大量破壊兵器のリスクも高まります。そしてもし②まで行った段階で、ゼレンスキー大統領が常々言っている①クリミア半島の奪還まで行くのかどうか、そうすると、ここには大量の武器が必要で人員も必要であり、それがいつまで続くのかというところが、この戦争がいつまで続くのかという質問と同じところになります。
(2023年1月5日MBSテレビ「よんチャンTV」より)














