夫や息子、恋人や友達が駆り出され、初めて「戦争が私事になった」

これは、家族から夫がいなくなり、もしくは息子がいなくなる。そうすると遺族からですね、結婚ができない、子を産むことができないという話が上がって、ロシアの国会で決まったことなんです。なぜ今制度化するかというと、これで終わらないからなんです。兵士がどんどんさらに動員される可能性がある。そうすると、兵士の精子の冷凍保存を無料化して、想像はしたくないですが、将来夫がいなくなった妻が、この精子を使って人工的に子供を産むということを制度化してるっていうことなんだと思います。

―――この三つを見ても、侵攻をやめるつもりはないというふうに思ってしまいます。いっぽう教授によりますと、動員令第2弾が出されれば、今度は「プーチン政権が窮地に追い込まれるのではないか」ということです。

去年9月の動員令以降、世論に変化がありました。軍事作戦支持は少し減り、和平交渉支持が増えています。はい、この第2の動員令というのは、ウクライナのゼレンスキー大統領も昨日言いました「ロシアは大量動員、またするんではないか」と。国防省が実はもう、その演説というかビデオ撮ったとされてるんですが、ロシアはまた国境を閉めて戒厳令を敷いて、ロシアの若い兵士をまた招集するんではないか、それは近々行うということも言われております。

これがなぜ。プーチン政権の痛手になるかというと、世論調査を見ていただければと思うんですが、9月と10月の段階で数字がかなり変わっております。(9月は軍事作戦支持44 和平交渉支持48 10月は軍事作戦支持36 和平交渉支持57)9月に動員令があって、夫や息子、恋人や友達が戦争に駆り出される、それが初めて「戦争が私事になった」状況の中でプーチン大統領への批判的な態度が出てきたというのが世論調査の表れです。

さらに付け加えたいんですが、調査した「レバダ・センター」というのは、巧妙にロシア人なら今の状況で答えられるというような質問を書いておりまして、「軍事作戦支持は、プーチン支持」を意味します。そして「和平交渉支持は反プーチン」なんです。反戦なんね、ですが反戦と言ってしまうとロシア国民は答えられない。ですからこの和平交渉支持という質問項目にするという聞き方をしているんですね。