今年の夏も大雨や熱中症に警戒が必要
――エルニーニョ現象では大雨が降りやすくなるということですが、大雨についてはどうですか。
森田 梅雨自体は平年並みと考えられます。ただ、夏は豪雨による災害にも気をつける必要があります。大気中の水蒸気の量が多くなっているため、低気圧になったときに大雨が降りやすくなります。
下の図は、集中豪雨の回数と雨量に関するグラフです。大雨が降ると報道では「何県のどこで1時間に何ミリの雨が降った」と表現しますよね。この図は少し変わっていて、低気圧が来て大雨になったときに、その一連の雨によって各地で観測された雨量を足し合わせて、総雨量ごとに回数を計算してグラフにしたものです。

――最も回数が多いのは、4万ミリから5万ミリくらいの降水量ですね。
森田 一般的に大雨として報道される際の降水量が、4万ミリから5万ミリくらいです。ところが、最近はこれまででは考えられなかったような集中豪雨が降ることがあり、大災害につながっています。
矢印①で示しているのが2014年に広島市で土砂災害を起こした豪雨で、総雨量は16万ミリを超えています。④は2018年7月に西日本を中心に河川の氾濫などが発生した豪雨で、約20万ミリです。そして2021年8月に全国の広い範囲で降った豪雨の総雨量は突出して多く、28万ミリを超えています。
これらの集中豪雨では、多くの死者や行方不明者、住宅の全壊など甚大な被害が出ました。災害級の豪雨が降りやすい状態になっているのは今年も同じです。
――今年の夏は高温と大雨の両方に警戒が必要ということですね。
森田 もう一つ警戒が必要なのが熱中症です。高温が続くと、日本は湿度が高いため、体感温度も高くなります。熱中症も多くの人の命を奪っています。
――厚生労働省によりますと、2024年は熱中症で2160人が亡くなりました。統計を取り始めてからは過去最多の人数です。そのうち65歳以上が1835人と、85%を占めています。
森田 熱中症による死亡者数は右肩上がりになっていて、統計に出ているようにお年寄りは特に注意が必要です。記録的な高温が続いている今の状態は、異常気象というよりは気候変動の段階に入っているといえます。夏の暑さが災害級になっていることを知ってもらって、十分な対策をとってほしいですね。
<森田正光(もりた・まさみつ)氏略歴>
1950年名古屋市生まれ。財団法人日本気象協会を経て、1992年にフリーお天気キャスターになる。同年、民間の気象会社、株式会社ウェザーマップを設立。親しみやすいキャラクターと個性的な気象解説で人気を集め、テレビやラジオ出演のほか全国で講演活動も行っている。
2005年より公益財団法人日本生態系協会理事に就任し、2010年からは環境省が結成した生物多様性に関する広報組織「地球いきもの応援団」のメンバーとして活動。環境問題や異常気象についての分析にも定評がある。学校法人桑沢学園東京造形大学客員教授、一般社団法人島バナナ協会代表、将棋ペンクラブ審査員。
(インタビュアー・田中圭太郎)
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