逃げてきた野球、湧き上がる後悔
野球と再会したのは、大学院に入学した2020年の夏。コロナ禍のオンライン授業続きでふさぎ込みそうになる中、草野球の助っ人に呼ばれた。
「僕がぼってぼてのヒットを打っただけで、見ず知らずの大人が両手を挙げて喜んでくれたんです。ああ、野球って楽しいんだなって思い出しました」
月に一回は試合に出るようになり、素振りや筋トレを再開するとみるみる腕が戻ってきた。一日何百スイングとしていた高校時代を思い出し、杉山の胸にある思いが湧き上がるようになった。
「あんな形で野球と縁を切ったままにしておくのは嫌だな」
司法試験浪人中に一念発起、ひとり静かにトレーニングを始めた。
浪人期間の1年は勉強と筋トレに没頭し、体重も68キロから80キロ台に増やした。「体を大きくしないと打てないと思って。もうペンとダンベルしか握ってなかったですね」あっさりと話す杉山の体は恵まれた天性ものではなく、分厚く積み重なった努力の結晶である。















