12月31日に山形県鶴岡市で発生した2人が死亡した土砂崩れで、倒壊した住宅から救助された男性が、当時の状況を語りました。

77歳になる、加藤省一(かとう・しょういち)さんです。加藤さんが住んでいたのは、行方が分からなくなっている2人の隣の住宅で、土砂崩れが起こった時も住宅の2階で寝ていたと言います。


救助された・加藤省一さん(77)
「家がバリバリと持っていかれたような感じ、あれ、地震かと。屋根も落ちてきているし、隣の建物がうちの壁をぶち抜いてきましたので」

幸い、大きなけがはなく、膝を付けて立てる程度の空間がありました。隣の家に住む夫婦に呼びかけを続けたということですが、時間が経つにつれ…。


救助された・加藤省一さん(77)
「私は心臓に病気があるものだから、震えがきた。あれ、俺これでもう終わったなと」

近くの掛布団をかぶり、寒さに耐えたといいます。その後外からサイレンの音が聞こえてきました。

救助された・加藤省一さん(77)
「サーチライトのようなものが四方八方から見えた。『いますかー!?』という声が聞こえ、『ここにいる!』と返事をし『今助けに行く』と言われた。壁に穴をあけてもらい、光が見えて、救助隊の人が来た」

加藤さんは家の電話の子機を持って、その光で居場所を知らせ、発生からおよそ2時間半後、救助隊により助け出されます。

当時は真っ暗で、状況が分かりませんでしたが、ニュースを見て、愕然としたと言います。

救助された・加藤省一さん(77)
「みんな、家は建っているものだとばかり思っていた。あぁ・・・あの山が崩れたんだと」
(Qあの山が崩れるとは?)
「一度もなかった、疑うこともなかった」

加藤さん自身も、「12月は雨が多い」と感じていたということですが、山が崩れるとは全く思わなかったと言います。

地区を飛び回る蛍にひかれて、20年以上住み続けた場所ですが・・・

救助された・加藤省一さん(77)
「あそこには戻らない。うん、もう戻らない」

加藤さんは、鶴岡市が提供を検討している、市営住宅への入居を考えています。

救助された時に持ち出せたのは、持病の薬が入ったバッグ一つだけ。

多くの物を失ってしまいましたが、それでも・・・

救助された・加藤省一さん(77)
「きのう起きたことは、良いことも悪いことも忘れて、きょうを一生懸命生きよう」

そして加藤さんは、どうしても、伝えたいことがあると言います。

救助された・加藤省一さん(77)
「通報してくれた、どなたか分からないけど、すっごい感謝。会ってあいさつしたい。それを思うと泣けてくるし・・・」