全国で2割の病院は未耐震
熊本地震では震度7の揺れが2度発生し、多くの医療機関が損壊して機能停止に陥りました。熊本市民病院もその一つです。同病院は耐震不足を理由に建て替えが予定されていましたが、資材価格の高騰を理由に熊本市が工事を先送りし、その直後に地震が発生しました。
厚生労働省の調査によると、2023年時点での全国の病院の耐震化率は80.5%、災害拠点病院でも96.0%にとどまっており、いずれも100%には達していません。全国で約2割の病院が未耐震という現実があります。
去年、青森で熊本と同じことが…
2025年12月、青森県沖を震源とする最大震度6強の地震で、耐震不足が指摘されていた青森県のむつ総合病院が被災し、入院患者が転院を余儀なくされました。
10年前に熊本で起きたことが、再び繰り返されたのです。この10年で病院の耐震化は進んだものの、建設費の高騰により新築計画が白紙となるケースも増えています。
花梨ちゃんの母親・さくらさん(47)はこのニュースを見て、「熊本市民病院のことを見ているようでショックだった」と語りました。
「まさか」を「自分ごとに」
同じ過ちを繰り返してはならない――。熊本市民病院で家族を亡くした遺族たちは、当時の経験を語り始めています。
花梨ちゃんの母親・さくらさんは「KARIN project」を立ち上げ、医療関係者や学生に向けて病院の耐震化の重要性を訴えています。また、葵ちゃんの母親・智子さんもこの活動に加わっています。
命を守るはずの病院が、災害によって機能を失ったとき何が起きるのか――。その現実を伝え続けることが、同じ悲劇を繰り返さないために必要です。あの揺れを経験した報道機関として、熊本の教訓と今をこれからも発信し続けたいと思います。
<執筆者略歴>
城島 勇人(じょうじま・はやと)
1986年 熊本県生まれ。
出版社勤務を経て2017年毎日新聞社に入社し、熊本支局配属。
2021年 福岡報道部。
2025年1月 熊本放送(RKK)に入社し、メディア総局報道センターの記者に。以降、熊本市政キャップとして熊本地震の取材も続けている。
【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。














