ガレージで生まれた、「魔法の土」
札幌市内の住宅街に、一風変わった「工場」がある。
本来は車を入れるその空間に、コンクリートミキサーと棚が並び、白いサラサラとした粒状の素材が袋詰めされていく。
「ベンチャーというのは、みんなガレージから始まっているんですよ。AmazonもヒューレットパッカードもGoogleも。僕はそういうところを踏襲してやってゆきたい」
こう語るのは、株式会社ラテラの荒磯慎也社長(41)だ。
ラテラとはラテン語のイメージで「土」の解釈も含む。
だが、この会社が作っているのは、厳密には「土ではないもの」だ。
土ではないのに、植物が育つ「媒体」。見た目はさらさらとした砂のようだが、正体は天然の鉱物(ゼオライト)だ。拡大するとスポンジのような細かい穴がある。
そこに独自の技術で無機肥料などを浸透させ、水を注ぐと養分が溶け出し、植物が根から吸収する仕組みだ。
特徴は大きく二つ。
通常の土の5分の1程度の水で植物が育ち、無菌のためコバエなどの虫が発生しない。
「土壌細菌がいないと植物は育たないんじゃないか、というのが一番の課題でした」と後に出資を決めた投資会社の担当者は振り返る。
植物栽培の「常識」への挑戦だった。
だが実際に、この人工土壌でニンジン・ダイコン・ジャガイモ・レタスなどが育つ。水耕栽培では難しいとされてきた根菜類まで収穫できることが実証されている。
スーパーのニンジンと成分比較したところ、ビタミンAがより多く含まれていたというデータもある。














