課題と懸念


 ただデジタルも万能ではありません。形式不備による無効(日付けがない・名前がない・連名になっているなど)は防げても、内容面の不備はデジタルになっても防ぎようがありません。

 例えば「全財産を長男に」と書いたとしても、ほかの相続人にも「遺留分」という法律で決まったものがあります。これを防ぐには、結局、司法書士・弁護士などプロに頼むと、コストがかかります。しかしこれは自筆でもデジタルでも共通の問題です。

■「動画撮影による遺言」は…AIと判別不可能?

 今回の議論では、より手軽な手法として「動画撮影による遺言」も検討されましたが、AIによる生成動画の判別が困難であることから、現時点では採用が見送られました 。

 デジタル遺言の運用開始は、早ければ2028年度ごろになる見通しです。これを機に「自分たちの意思をどう残すか」について、家庭内で話し合うきっかけにすることが大切だといえるでしょう。