「どんな状態でもいいから」 絶望の淵で、日本への帰還を選ばなかった理由

18歳にして名門・横浜F・マリノスの10番を背負い、20歳で渡ったベルギー。
しかし半年後、小野を待っていたのは左膝前十字靭帯断裂という悲劇だった。

1年近く公式戦に出られない日々。彼を追い詰めたのは、怪我だけではない。欧州サッカーの非情なまでのサイクルの早さだった。

「サイクルが早いんで。半年後には全然違う監督が来て、全然違う選手たちがいて。その中でまた食らいついていかなきゃいけない。結構難しい時間ではありました」

実績も過去の評価も、怪我と交代劇のなかで容易にリセットされる。
それでも、彼は日本に帰ることを選ばなかった。

「帰ってくるっていうことはあんまり考えてなかったので。やれるだけ向こうで長く、どんな状態になってもいいからと思って。結局4年ぐらい、もがきながら頑張ったって感じですね」

その暗闇の中で、彼を支えていたのは一つの強い意志だった。