政府はきょう(3日)、特殊詐欺などで得た違法な収益のマネーロンダリング対策として、警察が開設した架空の人物名義の口座を犯罪グループにつかませて金の流れを捜査する新たな手法の導入などを盛り込んだ「犯罪収益移転防止法」の改正案を閣議決定しました。

去年1年間の特殊詐欺と「SNS型投資・ロマンス詐欺」の被害額はあわせて3241億円を超え、依然として深刻な状況が続いています。

こうした特殊詐欺などの背後には、警察庁が治安上の脅威と位置づける「匿名・流動型犯罪グループ」の関与がみられ、だまし取った金をマネーロンダリングしている実態が確認されているということです。

このマネーロンダリング対策として、政府はきょう、「犯罪収益移転防止法」の改正案を閣議決定しました。

改正案では、▼「架空名義口座」を利用した新たな捜査手法の導入、▼「送金バイト」への罰則導入、▼不正な口座譲渡の罰則強化が盛り込まれました。

「架空名義口座」とは、警察が金融機関などの協力を得て開設した実在しない人物名義の口座のことです。

新たな捜査手法では、捜査員が素性を隠して犯罪グループにSNSを通じて接触し、この「架空名義口座」を渡して資金の流れを追跡、実行役や指示役の摘発につなげていきます。

また、この口座に犯罪グループから被害金が入金されたあとに口座を凍結し、犯罪収益のさらなる流出を防止するということです。

入金された被害金は速やかに被害者に返還されますが、被害者が特定できない場合は、ほかの被害者への給付金や、各都道府県での犯罪被害者支援の費用に充てるように努めるということです。

また、近年増加している「送金バイト」を使った新たな手口への罰則も盛り込まれました。

これは犯罪グループなどが報酬と引き換えに、SNSで実行役を募集し、実行役の口座に犯罪収益を振り込んだうえで、別の口座を指定し、実行役に金を移動させる手口です。

「2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金」の罰則が設けられ、指示する側だけでなく、実行した側も対象です。

さらに、被害金の入金に悪用される不正な口座の譲渡については、現行の「1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金」から「3年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金」に引き上げられます。

政府はこれらの改正法案を今国会に提出し、早期の成立を目指しています。