「解放区」を与える米国の試み 自尊心を取り戻した有色人種の女性たち

吉間氏は実際に、米国の事例として、従来型の回復プログラムからあえて一時的に距離を置く、というプログラムを紹介した。

保護観察中または刑務所出所後の女性を対象としたそのプログラムで参加者たちは、刑事司法のシステムが自分たちにどんな影響を与えてきたか、を語り合った。

有色人種の女性ばかりが犯罪者として取り締まられ、自尊心を奪われ、自立した経済生活を妨げられている… そこでは、そういった刑務所批判を繰り広げることまでが許された。

吉間氏:
「一見すると危険、反社会的ですよね」

しかし女性たちは、自分が受けてきた被害を理解し、社会の側の欠陥を言葉にすることで自尊心を回復させ、自己破壊的な傾向を小さくしていったと報告されているという。吉間氏は言う。

「今の認知行動療法もそうだと思いますが、要は社会構造の問題をそぎ落としてしまう。あなたは差別を受けてきた、とは扱わない。基本的にはその個人が再犯するリスクが何かを考えて、引き金を引かないような生活をしましょう、というテキストになってる」

「そういったプログラムが見落としていた社会側の問題、米国でいうと白人男性至上主義だったり階級主義という問題に目を向けることで、それまでの再犯防止や立ち直りとは異なるスタイルを生み出していったということです。これは人種差別といった米国ならではの文脈があるが、でも日本が全くそういう問題を抱えてないかというと、そんなはずない」