日銀は約10年続けてきた大規模な金融緩和策の一部を修正し、事実上の利上げを行うことを決めた。

■不意打ち修正で10年債利回り上昇、日経平均株価は全面安

日銀の黒田東彦総裁は12月20日、「イールドカーブコントロール(長期金利操作)の運用について一部見直すことを決定しました」と述べ、プラスマイナス0.25%程度としてきた10年債利回りの変動幅をプラスマイナス0.5%程度に拡大するとした。

事前に予測されていなかったサプライズに市場は大きく反応した。0.25%に抑えられていた新発10年債の利回りは約7年5か月ぶりに0.46%まで上昇。勢いは21日も衰えず、一時上限ぎりぎりの0.48%まで上昇した。

円相場は日米金利差が縮小するとの見方から、発表直後に5円以上円高に触れ、一時4か月ぶりの132円台となった。

日経平均株価は景気悪化が懸念され、売り注文が殺到。ほぼ全面安の展開となり、一時800円以上値下がりした。

市場の予想を超える見直しに、どんな意図があるのか。Bizスクエアのコメンテーターで日銀ウォッチャーの加藤出氏に聞いた。

――日銀の異次元緩和の修正は非常に意表をつくものだった。なぜ今、踏み切ったのか?

東短リサーチ 加藤出社長:
インフレ率がある程度上がってきていて、日銀としても今までは一時的な要因でいずれ下がってくると言っていた来年のインフレ率に自信がなくなってきている。それに加えて岸田政権がもう少し柔軟に金融政策を運営できないのだろうかと。もう少し柔軟にやらないと次の総裁を選ぶのも難しくなってしまうという問題が出てきている。黒田総裁が一切政策を変えないで次にバトンタッチしようとすると、政策修正の難しさが次の人の肩にズシリと乗ることになります。