黒崎播磨と三菱重工は主要区間のメンバーが強力無比
九州大会に初優勝した黒崎播磨と、前回4位の三菱重工は主要区間の3、4、5区選手がほぼ確定している。黒崎播磨は故障や体調不良がなければ3区・田村友佑(24)、4区・細谷恭平(27)、5区・土井大輔(26)と、前回と同じ顔ぶれになりそうだ。同様に三菱重工は3区・林田洋翔(21)、4区・井上大仁(29)、5区・山下一貴(25)と、こちらも前回と同じメンバーになる可能性が高い。
得意種目という視点で見たときのメンバー構成も、両チームは似ている。3区候補の田村と林田はトラックのスピードランナーで、ハーフマラソンでも1時間0分台の自己記録を持つ。前回は区間3位の林田、区間4位の田村とも区間新で、林田はチームを5位からトップまで押し上げた。
細谷と井上はマラソンでともに2時間6分台を持ち、日本代表にもなった(細谷のアジア大会は延期に)。細谷は前回4区区間賞でチームを2位に押し上げ、井上は19年、20年大会の連続区間賞選手で、前回は区間3位でトップをキープした。
そして土井と山下はチーム内のマラソン・ナンバー2のポジションで、スタミナ型である。前回はともに区間4位タイだった。
黒崎播磨の澁谷明憲監督は「2区、3区で順位を上げて4区でトップに立つ」と、勝つためにはその展開しか考えていない。
大迫を3区か4区に起用するGMOインターネットグループも、「大迫君でトップに立つ」(亀鷹律良監督)展開を期待している。そのためには1区候補の10000m前日本記録保持者の村山紘太(29)や、3、4、5区を担う吉田祐也(25)や今江勇人(24)が、他チームと互角の戦いをする必要がある。
吉田はマラソンで2時間7分台を持ち、20年の福岡国際マラソンで優勝しただけでなく、今年の東日本実業団駅伝でも6区区間賞を取った。スピードのある塩澤を10km強の区間で破ったことは自信になっただろう。
さらに今季は今江勇人が入社。千葉大大学院卒という異色の経歴だが、11月には10000mで27分50秒93をマーク。5000mも13分34秒58のスピードがある。
5~7区にも強力な選手を残し攻勢に出られる富士通&トヨタ自動車に対し、Hondaは伊藤か青木の区間で、GMOインターネットグループは大迫の区間でトップに立ちたいと考えている。黒崎播磨と三菱重工も4区でトップに立つ展開に持ち込むことに勝機がある。
どのチームが勝ちパターンに持ち込めるか。今回のニューイヤー駅伝はそこに注目したい。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)