鯉養殖 風評被害を乗り越えて

数値に向き合って原発事故の風評被害を乗り越えようとしている人がいる。郡山市内で鯉の養殖を続けてきた熊田純幸さん。

県南鯉養殖業組合 熊田純幸 組合長
「15年、闘いの中。結果的に福島のものが全くだめになって」
事故があった2011年以降、郡山市では養殖の鯉から基準値を超えるセシウムは一度も出ていない。それでも鯉の値段は元に戻らなかった。

食用の鯉の安全性にこだわってきた熊田さん。福島大学の難波教授や行政とともに調査を続けた。
かつて鯉の養殖に使われていた酒蓋池では除染をした。この池の周辺の線量が比較的高かったためだ。
その結果セシウム全体は大きく減ったが、池の底の泥の表面に予想以上の濃度のセシウムが残った。

福島大学 難波謙二環境放射能研究所長(2018年)
「除染で相当浅いところは全部なくなっているんじゃないかと期待したが、私たちとしては意外に残っているかと」
熊田組合長
「完全(な除染)なんていうわけにはいかないのか」

熊田さんは酒蓋池を食用の鯉の養殖には使わないことに決め、郊外にある線量が非常に低い池で鯉の養殖を続けてきた。
難波教授らとの調査で、汲み上げた地下水の中で鯉に泥を吐かせると、線量がさらに下がることがわかった。

郡山市の養殖鯉のモニタリングでは、2023年以降、セシウムは全く検出されていない。
熊田組合長
「福島の水はミネラルが豊富だから(鯉が)美味しい」
加工場では鯉を甘露煮やアライにして出荷している。

原発事故から15年、熊田さんは2026年に初めて加工した鯉の県外への出荷を再開した。
事故前のように、全国に販路を広げようと意気込んでいる。

熊田組合長
「うちがトップクラスで鯉を作っているが、いかに全国に加工した魚を売るか。安全性には自信がある。クリアしていると思う」
「半分あきらめてきた、もうだめだと思って。15年たったら結構、福島のもの抵抗なくなってきたのかなと」














