中東情勢の悪化による原油価格の高騰は、私たちの暮らしに様々な形で影響を及ぼしています。身近な食材を生産する農家や、事業継続のために燃料が欠かせない現場では、先行きが見えない状況に不安の声が広がっています。

燃料の価格が上がっても、料金に反映させられない業種もあります。


松本城近くにある老舗の銭湯・塩井乃湯。

お湯を沸かすために使うボイラーは、午後2時すぎから営業が終わる午後10時まで、焚きっぱなしです。


重油を入れるタンクは、400リットルのものが3つ。真冬から3月までは、ひと月に3回、800リットルずつ給油します。


このほか、脱衣所の暖房などに灯油を使います。


塩井乃湯 田中洋子さん:「(重油は)上がる前に入れたから、次にどうなるか恐ろしいんですけど、灯油だと30円くらい軽く上がってます」

午後3時を過ぎると、常連さんが続々とやって来ます。混み合うのは開店直後と閉店前。その間、ボイラーを切るわけにはいきません。


塩井乃湯は、4年前、ロシアのウクライナ侵攻で石油の価格が上がった時に、営業時間を1時間短縮しました。

田中さんは重油の価格が高止まりするようだと、見直しも考えざるを得ないといいます。


塩井乃湯 田中洋子さん:「あんまり高くなるようだったら時間短縮にするか、日を間引いて営業するとかそれしかないと思っています」

県内の銭湯の料金は、おととし改定されて12歳以上の大人が500円。しかし、市場の動向で原油価格が上がっても、銭湯では入浴料金を簡単に上げられません。

これには理由があります。

銭湯の料金はもともと1946年=昭和21年に定められた「物価統制令」以来、知事が決めています。


「公衆衛生のため、安価で入浴できるように」と、県内では、どこでも同じで500円です。

一方、スーパー銭湯などは施設が料金を決められます。県のおととしの調査では、県内のスーパー銭湯の大人の料金は平均で200円近く高い682.1円です。

田中さんは明治時代から続く塩井乃湯(しおいのゆ)の4代目。30年近く銭湯を守り続けてきました。


塩井乃湯 田中洋子さん:「もうどうしようかと思う時もありますけど、やっぱり支えてくれるお客様がいるので続けている感じですね(これまでで何番目に厳しい感じですか?)一番厳しいんじゃないですかね。すべてのモノが上がってますからね」