「ふるさと」とは何か 福島市内に集まる“長泥”のお墓

細かい文字で埋め尽くされた画用紙。長泥地区の手書きの地図だ。英語と日本語で様々な情報が書き込まれている。作成したのはイギリス人の社会人類学者トム・ギルさんだ。
人類学者として困難な状況下にある人々の様子が知りたかった。ギルさんは事故の1か月後、長泥に入った。
トム・ギルさん
「その音(線量計の音)は一生忘れませんね」
以来、ギルさんと長泥の人々の交流は続いた。避難先を訪ね地区の行事にも顔を出した。そんなギルさんが注目してきたのが共同体と墓地の関係だ。

トム・ギルさん
「集落が最終的に残るか消えるかを考える時、一番大事なのは墓地です。お墓が残っている限り、細々とでも、そのふるさととの関係を保つ」
ところが避難生活が3年を超える頃から変化がおき始めた。墓を他の場所へ移す家が増えたのだ。長泥の人々は別の形で繋がろうとしていた。

長泥区長 高橋正弘さん(65)
「これも長泥の曲田のひと。だから10軒のうえある」
福島市内の墓地に案内してくれたのは、現在の長泥区長、高橋正弘さん。誰が言い出したわけでも無く、長泥の人たちがここに墓を移しだした。いまでは10世帯以上にのぼる。
長泥区長 高橋正弘さん
「これだけみんな長泥の人がいるということは、盆正月お彼岸に来ても、長泥の人が線香上げに来れば、会って話とか出来るよな」

トム・ギルさん
「ふるさとはなんですか。場所なのか人間の共同体なのか。このお墓をみると、長泥から遠いけど長泥の人が集まっている。福島市に長泥である場所がずっと残ることはある意味心強いことではないでしょうか」














