ヒゲハナバチが目立つ理由

(東洋産業 大野竜徳さん)
「ヒゲナガハナバチの仲間は単独生活で土中に巣を作るため、人の家に間借りしてくることはまずありません。

こうした理由から、住宅街やオフィス街では、桜の花に集まる主役がミツバチではなく、ヒゲナガハナバチの仲間になることもあるのです。

このハナバチの集団をよく見ると、触角の長いオスも混じっています。

同じように花に頭を突っ込んだり飛び回ったりしていますが、実はオスたちは巣を掘ったり、花粉を集めて子どもの食料を用意したりといった仕事には参加しません。

彼らの役割はただ一つ、メスにプロポーズすることです。ハナバチのオスたちは、一生をそのために費やします。

ときには一匹のメスをめぐって、絡み合うように取っ組み合いの大喧嘩をしている姿も見られます。

中には、お目当てのメスそっちのけでケンカに夢中になり、その隙に逃げられてしまったり、あとから来たほかのライバルにメスを奪われてしまったり、そんな少々間の抜けた場面もあります。

こうして本日の必死のプロポーズを終えたオスたちは、夕方になると花や草の上に集まり、集団で休むことがあります。昼間はあれだけ争っていたのに、夜になると仲良く並んで休んでいる。

天敵から身を守るための行動と考えられていますが、もしかすると今日の成果や明日の作戦を語り合う、反省会や作戦会議でも開いているのかもしれません。

みなさんの身の回りに咲く花の周りにも、たくさんのハチがやってきていませんか。よほど刺激を与えない限り、人を刺すことはほとんどありません。

せわしなく働くハナバチの仲間や、空中でホバリングするヒラタアブ。

春の暖かさを感じながら、少し足を止めて眺めてみる。そんな時間を楽しんでみてはいかがでしょうか」