“高度な装備を持った20人の武装テロリストで自爆をいとわない者たち”に常に備える
ロシアのウクライナ侵攻では、初めて稼働中のザポリージャ原発が攻撃対象となった。
アメリカに次ぐ原発大国、フランスでは原発を守る対策を9.11以降、さらにグリーンピースからの侵入もあり強化しているという。
フランス政府のアドバイザーを務めたアナリスト、シュナイダー氏にフランスの原発テロ対策について聞いた。

原子力・エネルギー政策アナリスト マイケル・シュナイダー氏
「全ては『設計基礎脅威』と呼ばれるものから始まる。私個人としては9.11以降、設計基礎脅威は常に“高度な装備を持った20人の武装テロリストで自爆をいとわない者たち”であるべきだということだ。さらに環境保護団体の活動家が原発内に侵入したことを受け警察の特殊部隊を導入した。現在22ほどの部隊が存在している。部隊は特定の原子力施設に携わるために専門的な訓練を受けている。施設内に常時配置されている隊員もいる。人数は公表されていないが4~5人程度だと思う。防御体制を知られないように変動している可能性がある…」
さらに従業員の身元調査も徹底しているという。
原子力・エネルギー政策アナリスト マイケル・シュナイダー氏
「実際には『原子力セキュリティ司令部』という特別な組織があり原子力施設で働こうとする応募者の過去を調査している。結果によって採用を拒否される者もいる。年間100人は不採用だね」
外からの攻撃だけでなく内側からも破壊工作がないかを厳重にチェックしているというフランスだが、現在の最大の脅威はやはりドローンだという。原子力施設に限ったことではないが、今やあらゆる種類のドローンに対処しなければならず、ここはまだできていないという。

原子力・エネルギー政策アナリスト マイケル・シュナイダー氏
「ウクライナ戦争でも見てきたように攻撃用ドローンだけではない。観測用ドローンも大きな問題だ。低空を飛ぶ非武装ドローンでも原子力施設の情報を取得する可能性がある。(中略)最も懸念しているのは使用済み核燃料の再処理施設(への攻撃)。最大の危険の潜在性が使用済み燃料プールに存在していることを知っているからね。そこにあるセシウムが全て放出された場合、放出量はチョルノービリの66倍に当たる。これは他の国でも同じだ。日本で最も危険性の潜在能力が大きいのは原発ではない。(青森県の)六ケ所村だ」
さて日本は原発を脅威からどう守っているのだろうか?因みに公表されているのは…
▼自衛隊…弾道ミサイルに対してイージス艦とPAC-3で対応
▼海上保安庁…原発の海を24時間体制で監視
▼警察…サブマシンガン・ライフルを所持した『原発特別警備隊』を組織
最もフランスと違うのは、人材の採用に関して電気事業者に任せている点だ。国が関われば、身元も犯罪歴も確実だろうが、日本はそれをなぜかしてない。
『笹川平和財団』小林祐喜 主任研究員
「去年、重要安保情報保護法が施行され国が主体となったセキュリティクリアランス制度が始まったが原子力は入っていない。これは特殊な事情があるが、すでに他国と肩を並べるために急いで2017年に法律よりも低い規則でセキュリティクリアランスをやることにしていたため事業者が主体になっている。ただ何のためにこれをやるのか考えると、善良な市民になりすまして原子力施設に入る内部から使用済み核燃料の警備状況などをテロリスト側に伝えて外部からの被害を拡大させないためなので、常時機密に触れられるようにしたほうが効果は大きい。国の法律に基づいてやるべき」
なぜ2017年にきちっとした体制が取れなかったのか…
元原子力委員会委員長代理 鈴木達治郎氏
「やはり人権問題、プライバシーの問題が一番大きな理由だと…以前に比べればだいぶ良くはなっているけれども日本はテロの可能性は低いという前提になっている。『設計基礎脅威』自体が甘いとも言われているが、テロ対策は情報公開されないのでチェックのしようもないんです」
(BS-TBS『報道1930』3月11日放送より)














