ふるさと鹿児島で両親の墓参りに同行
桜島を背景に「市街地から海を隔てて、こんな雄大な島があるというのは世界中どこにもありません、生まれ故郷は自慢です」とふるさと・鹿児島を愛してやまなかった稲盛さん。貴重なプライベートの時間である両親の墓参りに同行した際は、こんなやりとりをした。
―――ご両親は、いまの稲盛さんをどう見ていると思いますか。
「喜んでくれていると思う」
―――でも、ここまでくるまでに、相当な努力をされたわけですよね、大変でしたか。
「大変でしたけど、がんばることが大切なんです。結果もそうですが、自分の自信になって、それが次につながっていきますからね」
私はこれまで、同じような会話を誰かとしていたかもしれない。でも稲盛さんだからだろうか、言葉がストンと心に入った。当時私は、双子の兄妹が小学校に入ったばかりで、仕事と育児の両立に悩む「小1の壁」に当たり、とにかく“不安と焦り”の日々だった。そんな時にかけられた一言で、何となく肩の荷が下りたような、背中を押してもらった気になった。
「とりあえず、できることをがんばろう」あの時の言葉が繋がって、いまも経済記者として現場に立ち続けることができている。














