AIで浮いた人員は「切らない」人間力で信頼を紡ぐ

ーーーAIの導入による業務の効率化や、それに伴う人員の再配置についてはどう考えていますか?

◆明治安田・永島英器社長
特徴的な取り組みのひとつは、3万7000人の営業職員がAIが搭載されたスマホを持っていて、お客様と面談をしたときの気づきを入力しておくとAIが営業職員に対して色々な示唆をしてくれて、営業職員がお客様とより豊かな材料をもとに向き合える仕組みを進めています。

「AIに任せる仕事」「人間がやる仕事」「人間とAIが協力して一緒にやる仕事」はそれぞれ峻別して効率化を進めていきますが、大事に思っているのは、AIに代替されたことによって人が浮いたとしても、それによって「人を切る」とか「採用を抑制する」とかそういうことは一切考えていないということです。メンバーシップ型雇用なのでその余力を持って他の仕事にチャレンジしていただくということです。

明治安田の大きな価値だと思っている「安心」と「信頼」のうち、「安心」はAIやアルゴリズムを使ってリスクを削ぎ落とすことでつくることができます。一方、「信頼」は対面で目と目を合わせて、”あなたに任せるから委ねる”という身体的感覚をともなう人間的な感情だと私は思っています。それは営業職員が一対一で対面でお客様と紡ぐ信頼だと思うので明治安田はAIやデジタルを使って安心をつくり、人間力でお客様からの信頼を紡ぐ。このことを大事にしていきたいと思っています。

私も毎日AIを使っていますが、記憶力などが衰える代わりに、より人間らしい感情や共感能力が高まるような実感があります。洞窟の魚が視力を失う一方、聴力や水の波動を感じる力は伸びるように、人間もAIを使いながら変化・進化していくことは十分できるんじゃないかと思います。