テレビや新聞よりネット情報を信じるファン

今回の総選挙では、インターネットの影響力も指摘されました。

「高市早苗総理が出演する自民党の動画がユーチューブで約1億3千万回再生され、その異例の多さに注目が集ま」り、「広告としても再生され、多くの人の目に触れたとみられる」とか(2026年2月7日朝日新聞デジタル版)。

ふと、「高市氏のファンとアンチでは、メディアへの接触の仕方も違うのだろうか」という疑問がわいて、その確認にもTBS総合嗜好調査を駆使。

調査では「1日あたりのネット利用時間」や「1週間あたりのテレビ視聴頻度」とともに、ズバリ「テレビや新聞より、インターネットにでている情報を信頼する傾向」があてはまるかどうかも質問。これらが高市氏への好悪でどう違うかを示したのが次の帯グラフ。

ネット利用時間とテレビ視聴頻度の選択肢がそれぞれ異なるので、時間量の比較は難しく、相対的な傾向を比べることになります。そういう目で見ると、高市氏ファンではネット利用時間が長く、テレビ視聴頻度が少ない傾向があり、逆にアンチではネット利用時間が短く、テレビ視聴頻度が多い傾向がうかがえました。

こうした傾向に呼応するように、「テレビや新聞よりネット情報を信頼する傾向」の人は、アンチでは4割のところ、ファンでは実に7割を占有。

ちなみに、高市氏ファンに占める割合が最大なのは女性10~30代(26%)で、後続は女性40~50代(20%)と男性10~30代(19%)。

一方、アンチ高市氏ではトップが男性40~50代(24%)で、そこに女性と男性の60~70代(各々17%)が後続。なるほど、メディアの接触も違いそうな顔ぶれで、そうしたことも選挙に影響したのかも、と想像させる集計結果です。

そしてどうなる、高市政権

こうしてみてくると、高市氏は、テレビや新聞よりネットの情報を信頼するという若年層を引きつけて、自らの政策実現に邁進していく模様。

現時点では非常に多くの人気を集めていますが、不人気が人気を上回りやすいのは歴代総理の常。小泉総理は例外中の例外で、「安倍一強」が長く続いた第2次安倍政権も、2年目以降はかなりの不人気振りでした。

高市氏のファンには氏の政策や信条を支持する人も多いですが、それが多数派ではないこともデータが示したとおり。

しかし、衆議院の4分の3も議席を取った今、この先は人気やファンが多かろうが少なかろうが、数の力を頼みに採決強行連発も可能な状況です。はたして高市総理はファンだけ喜ぶ政治をするのか、それともアンチや「どちらでもない」人の意向も汲んだ政治をするのか、先行きが大いに気になります。

注1:TBS総合嗜好調査は、衣食住から趣味レジャー、人物・企業から、ものの考え方や行動まで、ありとあらゆる領域の「好きなもの」を調べる質問紙調査です。TBSテレビが、東京地区(1975年以降)と阪神地区(1979年以降)で毎年10月に実施し、対象者年齢は、1975年が18~59歳、76~2004年が13~59歳、05~13年が13~69歳、14年以降は13~74歳となっています。

注2:第75代宇野宗佑総理(在職1989年6月3日~同年8月10日)と第80代羽田孜総理(在職1994年4月28日~同年6月30日)は、調査が行われた10月時点で総理ではなかったので、グラフから省いています。

<執筆者略歴>
江利川 滋(えりかわ・しげる)
1968年生。1996年TBS入社。
視聴率データ分析や生活者調査に長く従事。テレビ営業も経験しつつ、現在は法務・コンプライアンス方面を主務に、マーケティング&データ戦略局も兼任。

【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。