旧統一教会をめぐり問題となっている「養子縁組」や「献金」。 実は、日本人の女性信者が世界に派遣され、役割を担わされてきたのです。

教団がすすめる養子縁組 利用された日本人女性信者

11月に発覚した、旧統一教会の養子縁組問題。その背景に、こんな教義が。

「子どもがいないと神の国に行けない」というのです。

教団作成ビデオより「神を中心とした家庭の姿こそが、四位基台(よんみきだい)の最も根本的な形と言えます」

神が求める家庭の姿を完成させるには、子どもの存在が不可欠だといいます。

そのために、女性信者は子どもに恵まれない仲間の家庭に、我が子を養子としてさし出すのです。

旧統一教会の元信者「『家庭』というのを一番、教義のポイントにしていて、いかに子どもを増やすか、産むことが祝福なんだと」

女性信者の役割は、出産だけにとどまりません。

文鮮明氏の言葉(冊子「出産」より)「開拓をしない女性は、赤ん坊をたくさん生むことはできません」

「開拓」とは、世界各国におもむき、布教などをすること。今まで、莫大な数の女性信者が、世界中に派遣されたといいます。

教祖に利用され続けた日本人女性たち。その過酷な実態とは。

1600億円の献金 日本の女性信者を韓国に集め研修を開催

1978年、ソウルで、文鮮明氏の右腕とされる元信者が、キリスト教団体としての取り消しを求める裁判を起こしました。これは、その書面を和訳したものです。

裁判書類「彼は数多い人々を愚弄し、女子達を泣かせた」

取り消しは認められなかったものの、文鮮明氏が女性信者と関係を持っていたことが明らかに・・・

教会で働いていた元信者が証言しました。

旧統一教会の元教会職員「日本の女性は文先生の『相対』だと。『相対』というのは『伴侶』なんだという教えで、どこにでも行くし、なんでもやるというのが教えなので」

教団は、冷戦が終結すると、反共産主義から世界平和へ路線を変更。1992年には、「世界平和女性連合」を創設し、女性信者を前面に打ち出すようになりました。

翌年には、日本の女性信者を韓国に集め、「修練会」と呼ばれる研修を開催。

統一教会 文鮮明総裁「女は宇宙になによりも貴いものを、抱擁するようになっています」

集中的に教義を学ぶという触れ込みで、25回開かれたといいます。

教団は、この会に、2年間で16万人の女性が参加したとしています。しかし、その真の目的は・・・

旧統一教会の元教会職員「『救国献金』と呼んでいたと思うんですけど、一人100万円(1万ドル)払わないといけないので、16万人(集める)というのは最初から無理なので、何回も参加した人もいますので、何百万払った人もいるでしょうし」

早い話が日本人からの金集め。1600億円集まったといいます。

旧統一教会の元教会職員「それに味を占めて、世界戦略というか、世界的な広がりを目指すんだということで、とにかく一気に世界へ出ていったと」

そして1996年、南米の4か国を教団の「モデル国家」にするため、日本の女性信者を派遣し始めます。

最初の目的地は、4か国のうちのウルグアイでした。

体育館に集まった、4200人もの女性。全員、日本人の信者です。

文氏も激励に訪れました。

しかし、なぜ、ウルグアイだったのでしょう。現地の元信者によると・・・

元ウルグアイ統一教会 青年部元責任者 セバスチャン・カマチョさん「文氏は『ウルグアイは地球上で韓国のちょうど反対側に位置するため、神によって結ばれた国である』と言っていました」

ウルグアイへ送り込まれた日本の女性信者たち。知られざる役割がありました。