元大阪地検トップの北川健太郎被告(66)からの性被害を訴えている女性検事。北川被告や国などを相手取り、16日に損害賠償訴訟を大阪地裁で起こしました。

 17日の記者会見で、提訴にあたっての現在の心境を語りました。

「なぜ、このような酷い性犯罪、二次被害を受けなければならなかったのか、その理由を知りたい。でも誰も説明しないので裁判で明らかにするしかない」

〈女性検事のコメント〉  

 みなさま、いつも温かいご支援をありがとうございます。16日午前、大阪地裁に国賠、民事訴訟を提訴しましたのでご報告させていただきます。提訴の場にはたくさんの方々が応援に駆けつけて下さり、勇気づけてくださいました。本当にありがとうございました。  

 提訴にあたり、今の私の気持ちをお伝えさせていただきます。  

 7年前に大阪地検検事正から性犯罪被害を受け、検察組織や職員を人質にされて脅迫・口止めされ、私自身も被害を知られるのが怖くて一人で抱え苦しんできました。  

 でも心身が限界で、生き甲斐だった検事の仕事ができなくなり、家族との穏やかな生活も失ってしまいました。  

 だから救いを求めて検察に被害申告しました。検事の仕事に戻りたかったし、家族と普通に笑って穏やかに過ごしたかったからです。でも被害申告から2年間、検察の酷い対応に命が削られていきました。  

 加害者が守られ、被害者が切り捨てられ、上司の誰も手を差し伸べてくれない、寄り添ってくれない。知られたくなかった私が性犯罪被害者であることや、私が虚偽告訴をしているなどの誹謗中傷を、検察組織が止めてくれないので、どんどん広がっていく。私の声は無視され、絶望させられ、尊厳を踏みにじられ、名誉もプライバシーも勤務環境もめちゃくちゃにされてしまった。検察は私を辞職させたい、死んでほしいのだろうと思いました。  

 私はなんのために覚悟を決めて被害申告をしたのだろうと思いました。検事として懸命に被害者の方々とともに闘ってきた私を、私が被害者の方々に寄り添ってきたように、なぜ上司は私に寄り添ってくれないのだろう。  

 なぜ一緒に支え合って仕事をしてきた同僚や元上司が、私を誹謗中傷するのだろう。私はここにいて、誰か助けてと叫んでいるのに、なぜ見て見ぬふりをするのだろう。なぜみんな離れていくのだろう。なぜ私の声が届かないのだろう。  

 検察組織との関係では絶望的な2年間でした。それでも、家族や弁護団、一緒に闘ってきた仲間が私を支えてくれました。そして私の名前も知らないたくさんの支援者の方々がずっと寄り添ってくださり、励ましてくださいました。生きてこの日を迎えられたのは皆さまの支えがあったからです。本当にありがとうございました。生きてこの日を手繰り寄せた自分自身を褒めてあげたいと思いました。  

 今回の提訴は、検察組織がどれほど職員の安全、尊厳、名誉を傷付けているのかを自覚してほしかったからです。職員はコマではない。心があり、誇りをもって仕事をしている人間です。でも仕事はきつい。だから安全が確保されていないと働くことができない。検察の中に私の居場所はもうないかもしれない。でも、一緒に闘ってきた大切な仲間が懸命に働いているので、彼らが安全に仕事をできるようにしてあげたい。そのためには、私の身に何が起きているのか、検察組織の何が問題なのかを、裁判の場で明らかにし、実効性のある再発防止策を講じてほしい。二度と私のような被害職員を出さないでほしい。  

 そして、なぜ、ただ懸命に犯罪被害者のために働いてきた私が安全であるはずの検察庁でこのような酷い性犯罪、二次被害を受けなければならなかったのか、その理由を知りたい。でも誰も説明しないので裁判で明らかにするしかない。そんな想いで提訴しました。  

 でもこんなことがやりたくて検事になったんじゃない。検察組織はもう信じられないけれど、検事の仕事は今でも好きだし、一緒に闘ってきた仲間は大切だった。検察が私の居場所だった。失いたくなかった。