福岡市中心部で21日午前、通常の20倍を超える二酸化硫黄が観測された。健康被害を心配する濃度ではなかったものの、市民からは「臭い」と通報が相次ぐ事態になった。専門家は、鹿児島付近の火山から二酸化硫黄を含んだガスが、風に乗って福岡に流れ込んだ可能性があるとの見方を示している。
◆マスク越しでも“異臭”通報相次ぐ
「部屋の中まで匂ってきた」「汚物っぽい臭い」と眉をひそめるのは福岡市の市民。多くの人が“異変”を感じたのは21日午前8時ごろのことだった。福岡市環境保全課などによると、この頃から市や消防に「異臭がする」との通報が相次いだ。

RKB今林隆史「福岡市中央区ではマスクをしていても感じられるほど異臭がしています。測定局では二酸化硫黄の濃度が上昇しています」

福岡市中央区春吉では、二酸化硫黄の濃度が「0.023ppm(午前9時時点)」に上がり通常の20倍を超えた。福岡市内の別の観測地点や佐賀県東部などでも数値が上昇した。西部ガスによると、ガス漏れは確認されず、工場などから流出したという情報も入っていない。
◆火山から出た「二酸化硫黄」が流れ込んだ?
大気中の微粒子の予測などを専門としている九州大学の竹村俊彦主幹教授は、臭いの発生源は福岡市ではなく、遠く離れた場所の可能性を指摘する。竹村主幹教授の公開している大気汚染物質の予測モデルでは「火山」が関係していそうだ。

九州大学・竹村俊彦主幹教授「火山から出た二酸化硫黄などが風の流れに乗って行った東シナ海に出て、それが有明海あたりから鳥栖・基山に入り福岡市に流れてきたと考えるのが今、想定される範囲で可能性があります」

実際の測定値でも佐賀県東部の鳥栖市などで濃度が上がった後に、北側に位置する福岡市で濃度が上がっている。過去には熊本県の阿蘇山の活動が活発な時に流れ出た二酸化硫黄によって異臭が広がったこともあった。しかし、福岡管区気象台は「阿蘇山の活動は現在そこまで活発ではない」と話す。