失意の時、弟から言われた言葉「生きているだけで丸儲けじゃん」

そして2024年、彪吾さんに病が発覚した頃、梶原はパリ五輪に女子チームパシュートと女子オムニアムで出場した。しかし、パシュートは10位で予選敗退、2大会連続メダルを目指したオムニアムは、17位に沈んだ。失意の中、帰国した梶原に抗がん剤治療を始めた彪吾さんが声をかけた。

「『なんでそんなに暗い顔をしているの?抗がん剤治療をして手術したけど幸せだよ。生きているだけで丸儲けじゃん』って明るい顔で言われて。その言葉が本当に忘れられなくて、励まし合ってきた」

辛いはずの闘病生活を送っている弟からの前向きな言葉が、梶原の背中を押した。「弟のためにも、最大の目標である(9月の)アジア大会でのオムニアム3連覇と、10月の世界選手権で金メダルを獲りたい」。彼女は再び、前を向き自転車競技に取り組んだ。

梶原は3月開幕のワールドカップで始まる新シーズンへ向け、すでに走り出している。今年も去年同様、拠点としている伊豆で練習を積み、状態を仕上げていくという。「いつも練習している山で弟の葬儀ができて、これからは毎日、弟と一緒に練習ができる」。亡き弟への思いを胸に、梶原は再スタートを切った。