世界の関心が「ベネズエラ」へ移った隙に

中国国防省は、今回の演習で「台湾独立阻止に強大な実力を示した」と成果を強調しました。しかし、最大の皮肉は、この大規模な演習の効果が、アメリカのベネズエラ攻撃という更なる「巨震」によって、国際社会の関心から急速に薄れてしまったことです。

台湾にとっては、世界が自分たちに注目し続けてくれることこそが最大の防御となります。しかし、今や世界の目はベネズエラ、グリーンランドに移ってしまいました。台湾だけでなく、ウクライナやパレスチナからもその目は離れつつあります。

中国はすぐに台湾侵攻を開始する状況にはありません。しかし、アメリカの暴走によって国際社会の関心が分散し、自らの軍事挑発が「過去の出来事」のように扱われる現状を、習近平氏は内心、ほくそ笑んでいるのではないでしょうか。私たちは、遠くの激震に目を奪われ、足元の危機の予兆を見逃してはなりません。

◎飯田和郎(いいだ・かずお)

1960年生まれ。毎日新聞社で記者生活をスタートし佐賀、福岡両県での勤務を経て外信部へ。北京に計2回7年間、台北に3年間、特派員として駐在した。RKB毎日放送移籍後は報道局長、解説委員長などを歴任した。2025年4月から福岡女子大学副理事長を務める。